身体に重度の障害があり、車いすで生活している佐藤加幸実(まゆみ)さん(59)=板野町川端=が、社会福祉士の国家試験に合格した。自ら支援を受ける立場でありながら「障害者たちの支えになりたい」と、3度目の挑戦で目標を達成した。県社会福祉士会(徳島市)は「重度障害者が県内で合格した例は聞いたことがなく、初めてのケースでは」という。佐藤さんは資格取得を生かし、就労も目指している。
生後間もなくして脳性麻痺になった佐藤さんが社会福祉士を目指すきっかけになったのは、自身を支援してくれている社会福祉士の存在に憧れを抱いたことだそうです。
当時54歳の佐藤さんは、2012年4月、日本福祉大学の通信教育部に入学されて、3年かけて単位を取得されて卒業されました。
社会福祉士試験会場では手で書くことができないため、試験は雇ったヘルパーによる代筆で臨んだそうです。
佐藤さんの勉強方法としては、口で参考書のページを繰るなどし、1日3時間の勉強を重ねてきたそうです。
2年続けて不合格になったものの、「支えてもらっているからこそ、自分も誰かを支えたい」という強い気持ちで挑み続けてきました。
社会福祉士の資格を生かして就労を目指しており、5月には板野町内の障害者支援施設で職場実習を行ったそうです。
佐藤さんは「就労の目標がかなったら、お世話になっている人たちにコーヒーをおごる約束になっている。どの店にしようか考えています」と新しい夢を描いて今日も前進されているそうです。
何度も何度も挑戦し続ける背景には、「ご自身を支えてくれた方々への感謝の念」であり、思いの強さが絶大な力を与えてくれることが学べました。