社会福祉士国家試験「今年こそは絶対合格計画」

社会福祉士・精神保健福祉士国家試験に40日以内で一発合格した管理人の学習法をベースに、不安を不っ飛ばして“安心”に変えられるブログを目指しています。

40代の社会福祉士試験合格者が年々増加しています。

第30回社会福祉士試験の結果から、40代の合格者が前年度比で増加していることがわかりました。

 

 

 

◆第30回試験

 

(  )は29回試験結果

41歳〜50歳までの合格者数は全体の19.7%(18.2%)

51歳〜60歳までの合格者数は全体の10.7%(11.1%)

61歳以上の合格者数は全体の3.0%(3.1%)

 

 ◆ 第29回試験

 

(  )は28回試験結果

41歳〜50歳までの合格者数は全体の18.2%(17.2%)

51歳〜60歳までの合格者数は全体の11.1%(9.8%)

61歳以上の合格者数は全体の3.1%(2.7%)

 


拙ブログの合格体験談においても、多くの40代が寄贈してくださいました。

 

この試験はカリキュラムからの知識を求める出題以外にも、社会・福祉問題に関する問題提起の出題が毎年多数問われています。

 

例えば、第29回試験専門科目問135においてこのような事例問題が出されました。

 

 

問題 135 事例を読んで,高齢者虐待に関するL社会福祉士の対応として,適切なものを 2 つ選びなさい。

 

〔事 例〕 L社会福祉士は,S町にある特定施設入居者生活介護事業所の管理者をしている。 ある日,最近入居したMさんについて,複数の入居者から「昨夜,Mさんが廊下を 歩き回ってうるさかった」との苦情を受けた。Mさんを担当したA 介護職員に状況 を聞くと,「夜勤時,Mさんが大声を出して歩き回っていたので,一晩部屋から出られないように伴をかけておいた」との説明があった。

 

1 速やかにS町へ通報をすることとした。

2 閉じ込めたことは,やむを得ない対応と判断した。

3 Mさんの家族に電話で状況を説明し,了解を求めることとした。

4 Mさんの行動について,関係する職員とその要因を分析しつつ,対応方法を検討することとした。

5 外部に情報が広がらないように,ボランティアの受入れを中止することとした。

 

 

正しいものを2つ選ぶ問題ですが、各社で模範解答が割れました。

1か3で意見が分かれたのです。

 

当時、私のもとにも10名ほどの受験生から見解についての質問が寄せられました。

 

私は直感で「1」を選びました。

まずは、出題者の立場でこの問いを俯瞰してみました。

 

割れている「3」の選択肢を見ると、「職員が取った行動は、利用者全体を守るためにもやむを得ない=正当性がある。その上で事後報告として家族に報告すれば差し支えない」という個の尊厳を蔑ろにした判断のように感じました。

 

とっさにニュースで取り上げられていた下記のような社会問題を思い出しました。

 

外出も禁止され、連絡手段も断たれれば、事業者から虐待などを受けても外部や行政に苦情も言えない状況に追い込まれていく。これは直接的暴力ではないが心理的虐待であり、人権侵害だ。

 


出題者側に立つと、「3」のような閉ざされた世界での援助支援を肯定することに違和感を覚えました。

 

私は高齢者福祉の現場に携わっている身ではないので、次にネットを中心に「身体拘束」と「高齢者施設において鍵をかけることの実態」についてリサーチしてみました。

 


高齢者施設~拘束になる施鍵と安全を守る施錠 | 看護師ブログ [ナースはつらいよ]

 

介護保険指定基準の身体拘束禁止規定も確認してみましたが、「入所者の行動を制限するために鍵をかけるから身体拘束になる」という理論が私の直感とフィットする考えに落ち着きました。

 

今回の問題について、高齢者施設で働く現場の職員からは、

 

実際に事例のような問題が起きたら「鍵をかけるような対応をしている。ただし行政には報告していない」という声もいくつか届きました。

 

現場で働いている方からすれば、現実的には「3」の対応を取っているので1は非現実的ということで除外されている様子もうかがえました。

 

 

そして合格発表日に出された正答は「1」でした。


現場の職員からすると、言いたいことも山ほどあるものですが、「個の尊厳を脅かすような行動を目撃したら速やかに通報」というキーワードは児童・高齢者・障がい者・医療・生活困窮者分野全てに求められている合言葉でもあります。

 

「速やかに通告していかなければならない」という出題者からの強烈なメッセージのように感じました。


このように、社会の趨勢を物語るような問題が毎年のように出題されています。

「出題者の視点に立って問題を眺めてみると答えが浮き上ってくるという視点」は、ある程度試験慣れをした人間や社会経験を積んだ方が応用できるものです。

 

繰り返しになりますが、社会福祉士の試験はカリキュラムの知識に加えて、幅広い教養や福祉問題、そして対人関係のコミュニケーションの原点がベースにされているような出題が散りばめられています。


それは資格合格後に実際の社会福祉の現場に携わることになった暁に、机上の空論に留まらずに即戦力として活躍されることを期待している出題者の願いが込められているように想像しています。



30代の私よりも先に人生を歩まれてこられたみな様こそ、社会福祉士としての世界が広がっています。


私の知り合いの事業者にも、40代以降で子育て経験や福祉経験を積んだ社会福祉士取得のケースワーカーを求めているけれども、なかなか出逢いないとぼやかれている方もいるくらいです。

 

ぜひ年齢と経験をアドバンテージに、合格を目指してみませんか。