社会福祉士国家試験「今年こそは絶対合格計画」

社会福祉士・精神保健福祉士国家試験に40日以内で一発合格した管理人の学習法をベースに、不安を不っ飛ばして“安心”に変えられるブログを目指しています。

「相手のためを思って真心で接すれば必ず相手に通じる」という幻想について

相談しがいのある人になる 1時間で相手を勇気づける方法 (こころライブラリー) 

 

相談しがいのある人になる 1時間で相手を勇気づける方法 (こころライブラリー)

相談しがいのある人になる 1時間で相手を勇気づける方法 (こころライブラリー)

相談しがいのある人になる 1時間で相手を勇気づける方法 (こころライブラリー)

 

 

下園壮太 

 

「相手のためを思って、真心で接すれば必ず相手に通じる。最後にはわかってくれる。相手に感謝されるはずだ」というのは、理想論であり、甘い思い込みだと言わざるを得ません。

 

そういう思い込みにとらわれている限り、決して「相談しがいのある人」にはなれないのです。(第1章より)

 

冒頭から衝撃を受けるメッセージが書かれています。

何を隠そう私自身が20代前半にこのような理想論を抱えながら相談援助活動に取り組んでいたからです。

 

忘れもしない22歳大学四年次のエピソードがあります。

高校教諭免許取得のために教育実習をしていた頃の出来事です。

最終日に、「どうすれば生徒が制服を正しく着用するようになるのか」という課題が教員から出されて、私は自信を持ってこう答えました。

 

「生徒と教員の信頼関係を深めることが第一です。どんな生徒でも、教員側が何度も何度も制服を着用することの意義を唱え続ければ、時間がかかってもいつか生徒達の心に響き、変わってくれる日が来ます。諦めないことが大切です」

 

今振り返れば若気の至りのような恥ずかしさを覚えますが、当時は本気で「話せば分かる」というのが私のモットーでした。

 

今では精神論で解決するようならば苦労は要らないという経験を幾度となく痛感しています。

 

本書では、相談対応だけではなくて、親子間、友人間、会社の人間関係などにも共通している良好なコミュニケーションの取り方を、心理カウンセラーの下園氏が具体的かつ明快に説明しています。

 

私はこれまで5000名以上の方の相談に乗ってきましたが、本書を読んでいて、悪い相談対応癖が身についていることを認識させられました。

 

筆者は最後に、「こうしてまとめてみると、当たり前のこと言っているだけのような気もする」と述べていますが、その当たり前のことこそ、実践するのは容易ではないことをここでも突きつけられました。

 

相談援助の原則を見つめ直したい方にはオススメの一冊です。