前進あるのみ。
資格試験においても、人生全般においても、どんなに辛いことがあってもただ前を向いていくことの大切さを凝縮した言葉です。
私自身、過去を振り返らず、つまずいても立ち上がって前に進んでいけるような強い人間でありたいと、何度も自分に言い聞かせてきました。
過去はもう終わったこと、どれだけ思い煩悩を抱えても、そこから解決策が見出だせることはない。
終わったことにいじいじしないで、未来にだけ目を向けて生きていこう。
私は過去を引きずる瞬間が多々訪れるので、そうおまじないのように何度も言い聞かせることがしばしばあります。
しかしながら、殊、社会福祉士本試験においては、前進あるのみ思考は、危険な一面も兼ね備えていました。
そう、分かったつもりになることです。
サイクルにまとめるとこんな感じです。
スタート:覚える
↓
「正解している!よしこれで覚えたぞ」
↓一日後再度眺めて見ると・・・・・・
不正解。しかも昨日まで覚えていたはずのキーワードも頭から抜けている。
↓モチベーション低下
試験への焦りが募る
新しく吸収する知識の大半は、翌日や数時間後ともなると忘れてしまいっているのです。
この分かったつもりとの継続バトルに打ち勝てるかどうかが、合否に影響すると言っても過言ではありません。
社会福祉士だけではなくて、全ての試験に共通している闘いです。
人間の脳は忘れるように作られている。
この大原則から目を逸らしてはなりません。
以前も紹介しましたが、脳と記憶の有名な実験として、「エビングハウスの忘却曲線」という実験結果について触れたいと思います。
ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスが記憶がどのくらいのスピードで忘れられていくのかを実験して数値化しました。
その結果をグラフ化したのがエビングハウスの忘却曲線です。
この実験結果から、
20分後に42%、
1時間後に56%、
1日後に74%
1週間後に77%
1ヶ月後に79%
が忘れてしまうという結果が出ました。
そして、この忘れる事を前提とした記憶サイクルの流れを返るために必要なのが、復習なのです。
忘れることは当たり前、けれども、復習することで記憶を定着出来る。
復習ナシでは「覚える」ことは出来ないのです。
復習は辛い、後戻りしてまたやり直す作業は面白く無いというのが本音でしょうし、果たして本当に合格に近づいているのか不安になる時も訪れるでしょう。
その苦しみを味わっているのは実力が身についてきている証。
今苦しみを心で受け止められれば、この後が楽になります。
「一度見ればもう覚えたから大丈夫」ではなくて、忘れることを怖れずに、後ろに戻る勇気を持ってください。
その連続からでしか合格を勝ち取れる実力は培えません。
「80年以上もピアノを弾いていて、よく飽きないわね」とも言われますが、自分でも不思議なくらい飽きないですね。
だって、今でも楽譜のなかに発見があるんですもの。
作曲家とは本当に音楽をよく知っていて、部分部分に細かい宝石をちりばめながら大きな曲の流れをつくり出しています。
ちょっと見る角度を変えたりすると、「あらっ、こんな宝石が隠されていた!」と今まで気づかなかった発見があって、飽きる暇がないのです。
室井摩耶子『わがままだって、いいじゃない。92歳のピアニスト「今日」を生きる』P24より引用
御年97歳の現役ピアニスト室井摩耶子さんは、6歳からピアノを始めて90年が経ちましたが、毎日1日8時間程レッスンをされています。
今でも楽譜から新しい発見があるとおっしゃっており、何度繰り返しても完璧というものが存在せずに吸収できることを教えてもらえます。
私が大好きな歌詞で、「365歩のマーチ」という曲があります。
フレーズに、
『幸せは歩いてこない だから歩いて行くんだね一日一歩 三日で三歩 三歩進んで二歩さがる』
という部分がありますが、社会福祉士本試験も、三日分こなしたら、踵を返して、二日分復習するくらいのやり方が、その先にある合格という幸せにたどり着くために、大切な考えだと思います(ちょっとこじつけてしまいましたが)。
■ 参照