11月は「過労死等防止啓発月間」であるということをご存知でしょうか。
※「過労死等」とは・・・業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡、もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡またはこれらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害をいいます(厚生労働省より)。
この月間は、平成26年11月1日から施行されている「過労死等防止対策推進法」に基づくもので、過労死等を防止することの重要性について国民に自覚を促し、関心と理解を深めるために過労死等を防止するためのシンポジウムやキャンペーンを全国で行っている強化月間になっています。
10月30日に最新の「過労等防止対策白書」の内容が公開されましたが、主なポイントは下記のとおりです。
「令和2年版 過労死等防止対策白書」の主なポイント
1. 過労死等の実態把握のための調査研究として行った、労災認定事案の分析、企業の労働者等に
対するアンケート調査結果、疫学研究等の分析について報告。
2. 長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、
昨年度の取組を中心とした労働行政機関などの施策の状況について詳細に報告。
3. 企業や民間団体などでのメンタルヘルス対策や勤務間インターバル制度の導入など、過労死等防止
対策のための取組事例をコラムとして多く紹介。
有給休暇の取得については、2019年4月から有給休暇の取得が義務化され、企業は年間の有給休暇の取得日数が5日を下回る社員に対し、社員から希望を聞いたうえで有給休暇を取得する日を指定しなければならなくなりましたね。
平成27年12月から「ストレスチェック制度」が施行されたことや、大阪商工会議所が主催の「メンタルヘルス・マネジメント検定」の受検生が年々増加していることからも、メンタルヘルス対策への社会的関心が年々深まっていることがうかがえます。コロナ禍の影響で経済が停滞し、ますます精神的に不安定になる方も増えて行くことも想定されます。
ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等|厚生労働省より
しかしながら、現実的に過労死というのは、他人事ではなくていつ自分のこととして降りかかってきてもおかしくはない問題になっています。
過労死防止対策を加速させることとなった電通職員の過労自殺事件から早四年が経ちましたが、対岸の火事とは思えないような風化させてはいけない出来事でした。
福祉の世界では、支援をする立場の労働者が、まさに超過勤務によって身も心も疲弊しながらも慢性的な人員不足で休暇を取ることも出来ずに、ギリギリのところで死に物狂いで働いているという声が私のもとにも毎年のように届いています。
限界に達して退職される方も少なくはありません。
そのような職場は共通して心の余裕がない労働者が多く、職場の雰囲気もギスギスしており、定時で帰ることや休みを取ること、弱音を吐くことは許されないという空気が充満しています。
帰れない、休めない、SOSを発信できない。
そのような環境に身を投じていれば、遅かれ早かれ誰でもダウンしてしまうものです。
私の周辺でも、五年前に過労が祟って突然死してしまった方がいるので、ある日突然倒れて亡くなってしまう恐怖を体験しています。
「死んでしまったらどれだけ楽だろうか」と想像しながら現状維持を続けられている方もいらっしゃるかもしれませんが、死んだら二度とやり直しが出来ませんし、残された人間に大きな打撃が及びます。
職場ではあなた様の代わりがいても、たった一度の人生ではあなた様の代わりはいないのです。
頑張りすぎずに自分で抱え込まず、SOSを発信する勇気を。
そして「今の世界が絶対ではない」という逃げる勇気、目を逸らす行動を忘れないでいただきたいものです。
当事者は誰にも頼れずに、平然を装いながら生活を過ごしている方も潜在的にかなりいらっしゃると思われます。
「できる社員」という仮面を被りながら過ごす毎日に疲弊している方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方も、ある時耐え切れなくなって、もしかしたらどこかでSOSのサインを発しているかもしれません。
それは言葉かもしれませんし、遅刻や早退という「いつもと様子が違う」行動かもしれません。
「どうしたの?心配しているよ」という私はあなたを気にしていますというアイメッセージを伝え続けることで、孤独の淵に立たされていた人間が救いのように心が癒やされるというのも過言ではありません。
私自身はいつも記事で拍手ボタンを押してくださる方や、コメントを送ってくださる方、ツイッターでイイネ!やリツイートをしてくださる方に心から救われています。
どれだけブログのネタが底をついて「もう書けない」という限界を迎えていても、「ブログいつも読んでいます」「楽しかったです」という一声をいただけただけで、俄然やる気がみなぎってウソのように新しい記事を完成できるくらい力を与えてもらえています。
そのくらい「あなたのことを気にしています」「あなたのここが素晴らしい」という眼差しは受け手にとって勇気と希望を分けてもらえるパワーがあるのです。
また、ストレスを抱え込んでいる時の方が記事作りが捗るという場面が往々にしてあります。悲しみや孤独を体感しているからこそ、直結する記事を作れるのだと思っています。
頑張るのが当たり前の世の中で、厳しい生存競争で、他人に弱みを見せたり、優しさを配ることはメリットがないからという風潮の先には希望はありません。
ごく身近なところに、みなさんの優しさや声がけを必要としている方が傍にいます。