飯塚慶子氏は、合格基準点が大幅に変わったことを考慮した第35回社会福祉士試験対策で、いくつかのポイントを上げていますが、令和3年度試験で合格基準点が史上初となった精神保健福祉士、社会福祉士試験、公認心理師試験全てに共通するポイントを述べています。
・「理解したこと」「解けたこと」を1行で説明できる定着率を目指す。
・点差がつくのは「暗記問題」
初見問題(未知の問題)に対応できる応用力に意識をとられがちですが、正しい知識を求められることが試験の本質です。
知っているか、知らないかで、合否が決まると言っても過言ではないシンプルだけれども度外視してはいけない原則論です。
公認心理師試験においては、年度によって知識の理解レベルと事例の難易度の調整が図られますが、第5回試験がどうなろうと、「正しい知識」をいかに多くインプットしているかが要になってきます。
事例問題を解く上でも、理解していること=正しい知識を定着させていることが欠かせません。
・第 4 回では「午前は約 15500 字」(前回約 16600 字)「午後は約 14350 字」(前回 15900 字)として第 3 回から読み込ませる量を減らして難易度の調整を 図っていた。
・前回(第 3 回)は読み込む量を増加させ、知識問題の理解のレベルを前年より難化させ、事例をやや易化させたことで、全体の文字数と時間との調整がなされていた。今回(第 4 回)はその逆とまではいかないが、知識はシンプルに名称や内容を聞く出題を増やして易化させ(第 1 回に近似)、事例では判断の迷いそうな出題も織り交ぜながら前年よりも難易度を上げたものと考えられる。
第5回試験においても、合格基準点を下げるという調整を図るためにも心理検査毎の【名称・対象者・年齢・最低限のカットオフ値】をセットで知っていないとヤマ勘で解けないという問題が想定されます。
例 第4回公認心理師試験 問76より
問76 20歳の女性A、大学3年生。Aは、母親Bと精神科を受診した。Bによると、Aは、1か月前に親友が交通事故に遭うのを目撃してから、物音に敏感になり不眠がちで、ささいなことでいらいらしやすく、集中力がなくなったという。一方、初診時にAは、「事故のダメージはない。母が心配し過ぎだと思う」と声を荒げ、強い調子でBや医師の話をさえぎった。医師の依頼で、公認心理師CがAの状態把握の目的で心理検査を施行した。検査用紙を渡すと、Aはその場で即座に記入した。結果は、BDI-Ⅱは10点、IES-Rは9点であった。
CがAの心理検査報告書に記載する内容として、最も適切なものを1つ選べ。
例 第4回公認心理師試験 問138より
問138 28歳の男性A、会社員。Aは、最近、会社員に出勤できなくなり、産業医から紹介されて公認心理師Bのもとに訪れた。Aは、人前に出ることはもともと苦手であったが、1年前に営業部署に異動してからは特に苦手意識が強くなり、部署内の会議への参加や、上司から評価されるような場面を避けがちになった。Bが実施した心理検査の結果、BDI-Ⅱの得点は32点、MASおA得点は32点、L得点は5点、LSAS-Jの総得点は97点であった。
Aのアセスメントとして、最も適切なものを1つ選べ。
社会福祉士試験・公認心理師試験とも共通して、世の中の社会情勢に関心を寄せて、最新の動向に目を向けておくこと、日本語読解力を磨いておくで勘が鋭くなり、本試験で初見問題や二つまで絞れたけれども迷った際に判断しやすくなります。
こればかりは一朝一夕では身に付きませんので、ニュースや新聞等で日常的に常識力を磨いていってくださいね。