- 暗記だけでは受からない試験になったのは、過去11年間で社会福祉士試験の出題傾向が変化しているから。
- 社会福祉士試験制作者の出題意図を理解しておくこと
- 単なる暗記から、具体的に想起できるような応用型定着勉強法へ
暗記だけでは受からない試験になったのは、過去11年間で社会福祉士試験の出題傾向が変化しているから。
もしも11年前の私であったら、「社会福祉士試験を目指す上で、問題集を丸ごと一冊暗記すれば90点超えは可能であろう」と見立てて、ひたすら詰め込み式勉強法を実践していたと思います。
けれども、11年が経った今では、「問題集を一冊丸暗記しただけでは、合格点を超えることは難しいであろう」と、考えを翻しています。
なぜならば、試験事情が当時と現在とでは大きく変わっているからです。
11年前と試験の傾向が変化しており、例えば「二つ選べ問題」等は存在しませんでしたし、合格基準点が80点台から100点台にまで上昇しています。
昔のような暗記一本式のやり方では合格が簡単ではなくなっているというのは、実体験があれば言えますが、みんながみんな再受験経験者ではないので、今後試験制作側がどのような意図で構成していくのかを把握していくことが重要になってきます。
社会福祉士試験制作者の出題意図を理解しておくこと
既に2022年1月に提出された「社会福祉士国家試験の在り方検討会の報告書」が今後の試験を想定する上での材料になります。
[提言]
○ 新たな福祉ニーズに対応できる実践能力が備わっていることを確認・評価できるよう、タクソノミー分類を踏まえた問題作成を行い、理解力・解釈力・判断力を問うことができる事例問題による出題を充実させることが望ましい。(再掲)
○ 地域共生社会の実現に向けて、複雑化・複合化した問題や地域の課題に対応できるよう、単純な知識の想起によって解答できる問題は減らし、知識の応用として、実践現場で求められる解釈力や判断力を評価できる事例問題などの出題を増やすべきである。
○ 単純な知識の想起で解答できるタクソノミーⅠ型の問題だけではなく、状況を理解・解釈して解答するタクソノミーⅡ型、理解している知識を応用して問題解決方針を判断し解答するタクソノミーⅢ型の問題を充実させて出題する必要がある。
○ タクソノミー分類を踏まえた問題作成は、医療資格の国家試験のタクソノミー分類の考え方等を参考にして、社会福祉士国家試験における考え方を検討し、具体的な作問過程に落とし込む必要がある。社会福祉士国家試験の在り方に関する検討会|厚生労働省 2022年1月17日付
第37回試験からの新カリキュラムを想定していますが、第36回試験から導入される可能性が高いと見込んだ上で取り組むことを推奨します。
現カリキュラムラストの第36回試験から移行期間として、「状況を理解・解釈して解答するタクソノミーⅡ型、理解している知識を応用して問題解決方針を判断し解答するタクソノミーⅢ型の問題」の出題形式が増加する可能性があるからです。
上記の提言のポイントは、「事例問題の増加」ですが、単純暗記では導き出せないような現場実践型の出題が用意されるであろう未来を示唆しているように感じています。
実際に第5回公認心理師試験では、得点源の事例問題でも、頻出キーワードが選択肢に登場しているとは言え、「統合失調症」と「統合失調症型パーソナリティ障害」というような類似用語が同時に出題されており、正しい知識をインプットしていることを前提に、事例文で適切な用語を瞬時に判断することが求められました。
単なる暗記から、具体的に想起できるような応用型定着勉強法へ
第36回社会福祉士試験で得点を取るためには、単に問題集に出てくる解答を暗記するだけではなくて、その言葉を用いた場面をイメージして、自分のことに置き換えたり、身近なストーリーや背景を思い描けたりするように理解する勉強法をおススメしています。
どういうやり方と言いますと、例えば、統合失調症の患者さんならば、みなさんの身近や業務上でも耳にしたり、かかわることがある方もいらっしゃると思います。
試験上に必要な用語として覚えるよりも、実生活や仕事上に当てはめて覚える方が、エピソード記憶と言うように、断然定着率が高まります。
そうは言っても、問題は、実生活上で縁がない用語の方が多いという受験生の方が占めている点ですよね。
私が公認心理師試験の心理検査を覚える時や統計問題がまさにそうでしたが、ネットを使って覚えるように工夫していました。
参考書や用語辞典はほとんど開くことはありませんでした。
その理由として、勉強は自宅でする時間の方が少なくて、移動時間や職場の休憩時間が中心でしたので、それらを持ち込んでいなかったからです。
スマホをはどこでも携帯していますし、さっと調べられますので、わからない用語はとにかくGoogleやYOUTUBEで具体的に調べるようにしていました。
例えば、公認心理師試験の場合、似ているようで意味が違う頻出用語として、「カタレプシー」「カタプレキシー」というような一文字違いだけれども、イメージしにくようなものがありました。
そのような用語をただキーワードだけ覚えようとするのは、非常にお勧めできません。
ネットを使った以下の四本柱で定着に努めました。
〇〇例
画像検索
動画検索
ニュース検索
「カタレプシー 例」「カタプレキシーとは」でググると、瞬時に具体例が出てきますし、画像検索をすれば、イラストや写真付きで実態を目視することができます。
YOUTUBE等で動画検索すれば、動画を通して音声や映像でより理解しやすくなるメリットがあります。
最後に、ニュース検索でリサーチすることで、最新の社会情勢や制度について、身近な事例として知ることができるので、単語のみで覚えるよりも断然記憶に定着しやすくなります。
社会福祉士や公認心理師試験は時事問題からも出題する可能性があるので、両対策にもなります。
どんな場面でどうなってしまうのかについて、実際の場面を想定しながら覚えることで、試験問題で現場実践型の出題が待ち構えていた際に解きやすくなります。
第5回公認心理師試験の問1でいきなり受験生のメンタルをえぐってきた「要配慮個人情報問題」についても、過去問で類似問題が登場していた際に、「要配慮個人情報とは」でググって、意義や具体例に目を通していました。
本人に対する不当な差別・偏見その他の不利益が生じないように、取扱いについて特に配慮を要する一定の個人情報のことだとわかり、具体例で正答となった「病歴」や「犯罪歴」が記されており、自分がクライエントの立場で、勝手に病歴が漏らされたら嫌だな~なんて、想像しながらインプットしたのもあって、即答でマークできました。
これは、たまたま運が良かったからとも言い換えられますが、受験勉強の段階から、具体的な場面や登場人物やその用語の意義、影響等をイメージしながら学ぶことで、本番でも役に立てるわけです。
より具体的な勉強法についてはこちら