何度も何度も合格できない自分は周りにも追い越されてしまって、もう受けるだけ無駄かなと思っています。
毎年試験終了直後の生通話コーナーで、このような言葉を残される受験生の落胆の声が届きます。
その都度私はなんとも言えない切なさに苛まれると同時に、合格の意義について考えさせられます。
本試験にそれほど勉強した様子もなく、いとも簡単に合格する人
8割以上の高得点を取って合格する人
新卒でストレートで合格する人
一口に合格といっても、様々な背景があるものです。
合格した人間の中でも、そんな優秀組に比べて、自分はギリギリ合格した身だし、再受験でやっと受かったわけだから、合格をいまいち喜べない。
余裕で合格した人と比べたら、恥ずかしい気がする。
このように、合格したのに、成績優秀者と比較して、素直に喜べない方もいるようです。
あるいは、周囲の人間が合格して一歩先の世界に進んでいる中、自分だけが受験生活から脱却できないことに劣等感や焦燥感に駆られているような心境かもしれません。
他人との比較は自尊心を失い、生きる気力も萎ませてしまう悪影響を及ぼすことが往々にして生じます。
これ、決して他人事ではなくて、初回受験で不合格になった後にメンタルを立て直すのに四苦八苦した私自身の経験からも書いています。
私個人の考えからすれば、確かに高得点、最年少合格者は誇れるものですし、尊敬に値しますが、だからといって、合格点ギリギリで合格した人間が真の実力がないとは思えません。
定められた合格ラインを突破できたのですから、何点だろうと、合格の事実は変わりません。
履歴書に合格点を書かせるような求人や、点数の多寡によって給料が変わったり、異動先が決まる職場というのは聞いたがありません。
それよりも、この資格を取得した後に、いかに自分ため、社会のために活用するかの方が大切になってきます。
真の価値とは、取得後の活かし方次第というのはみなさんほとんど共通している認識でしょう。
私は初回の公認心理師試験を不合格になって、二回目の公認心理師試験で合格できましたが、公開する際に、「一回で合格できた」と発表することもできましたが選びませんでした。
遠回りしたからこそ発信できる情報や学び、そしてどのように気持ちを立て直したのかをここで発信できると思ったからです。
社会福祉士試験も精神保健福祉士試験も初回受験で受かったのに、公認心理師試験を不合格になっていると聴いたら、私自身のイメージにマイナスになるのではないかとも思いました。
ですが、プライドよりも、不合格を経験したからこその道を発信することで、これから受験をされる方にとってはメリットになるのではないかと決断したのです。
今、資格取得のために、勉強している受験生の中にも、周囲の人間との比較によって、モチベーションが下がっている人がいらっしゃるかもしれません。
私の周りにも、かつて宅建を短期間学習で高得点合格できた人や、社会福祉士合格後に、自分が望んでいた相談部門に異動になって自己実現を果たしている人、行政書士や司法書士などの、上級資格を取得していて、第一線で活躍されている人がいらっしゃいます。
そういう自分にないものを掴み取った人間と自分を比べてしまい、意気阻喪してしまった経験は私自身何度もあります。
忘れもしない宅建士受験の合格発表日、不合格を目の当たりにした瞬間のことです。
無慈悲な現実から、目の前が真っ青になりましたが、ネット上で合格報告を探していると、10代後半で一発合格した学生の喜びの声が飛び込んできました。
20代後半の自分は今まで何をしてきたんだろうか。
眩しすぎる若者の姿に埋もれてしまい、相当なショックを受けたことを今でも鮮明に覚えています。
上には上があるものです。
事実そのような結果を出した人間はみな表には出さなくても、血のにじむ努力を重ねてきているのです。
分かってはいるけれども、その事実をつきつけられると、とんでもなく自信を失ってしまうもの。
自分はなんて無力で、周りから置いてきぼりにされているんだろう。
自分はまた来年再受験しなければならないのに、合格者は自分の届かなくて、憧れの世界に進んで距離が開いてしまった。
こう考えると、自分が惨めで、やるせなくて、混沌とする心をコントロールできないくらい自暴自棄になってしまった時もありました。
私は、そんなダメな自分に救いを求めるかのように、バーチャルの世界に浪費してみても、心の空しさは広がる一方でした。
自分の生き方に自信をもてない時に、傍から見て上手くいっていると思える人間と比較してしまうと、ますます落ち込んでしまうスパイラルに陥ってしまいます。
でも、真のライバルは、先に進んでいる実力者ではなく、他でもない自分自身なのですよね。
いつの日にか、嫉妬、羨望のドロドロとした感情を五臓六腑で受け止められて、そんな自分に克てた暁には、自分だけの人生を闊歩できるはずです。
それでも、諦めなければ、景色は移り変わります。
少し休んでみて、またいつもの本調子を取り戻せたら、目標に向けて一直線していただきたいです。
ゆっくり、ゆっくり進んでいるからこそ、見える光景があり、そこから新しい出逢いや気づきが生まれるものです。
もしもあの時にストレートで数々の試験に合格していたら、今日のブログは存在していませんでした。
一発合格できたTAKA氏像に固執していたら、「かくあるべき」論が強くなり、独りよがりになっていく一方で、不合格の痛みやうまくいかない歯がゆさを想像できなくなってしまう恐れがありました。
公認心理師試験不合格でお灸をすえる形となり、いかに不合格になるのが辛いことかを再認識することができ、私にとっては必要な経験だったと振り返っています。
あの時の経験があったからこそみなさんに巡り合うことが出来ました。
もう絶体絶命だと思っていましたが、まさかの合格!!晴れて社会福祉士として頑張ります!!
合格発表日に、起死回生のリベンジ合格を果たされた方の声を受けた瞬間、このブログを続けていてよかったと心から思えました。
回り道してもいいんです。