なんのために勉強をするのか意味がわからないし、「学生だから勉強するべき」という誰かが決めたルールをうのみにして、わざわざ苦行を選択することはバカげている。
勉強することに反骨精神を覚えていた私でしたが、中学までは周りの同級生達が塾に通っているからという理由で右に倣えでした。
受験を経た者だけが高校に進学できるというシステムが出来上がっているため、やむを得ず自分も不本意ながらレールに乗っただけでした。
そんな調子ですから勉強は乗り気になれず、模試やテストで自分の至らなさが数値化され、他者との順位も強制的に知ることとなり、どんどん自信をなくしていきました。
受験校を定める時期で、一般入試で張り合える実力があるはずなく、避けて楽な道を進みたいという一心で、推薦入試を選び、高校に滑り込んだのです。
「絶対勉強放棄」の理論のもと、学業と向き合うことから目を背けていた私でしたが、高校入学後に、学びのやる気スイッチがONになる転機が訪れます。
1年次は、中学時代と同様で全体の成績がクラスで真ん中くらいでしたが、2年次になって文系クラスに分かれてから変革が訪れました。
進級と同時に、小中時代に苦手としていた数学(算数)や化学(理科)といった理系科目がなくなったことが決定打になりました。
更に成績上位者がクラスメイトの前で発表されるという流れになっており、恍惚感、優越感に浸りたいために、向上心に火がついたのです。
小学時代に漢字の成績でクラスメイトからの注目をほしいままにしていた快感がにわかに蘇りました。
あの頃のように同級生からの「頭が良いんじゃん」という称賛を手に入れるために、再起を決意しました。
理数系の足かせから解かれた今、俺はここで本気になるだけでした。
早速、期末テストで結果が表れました。
人生初の4位という成績でした。
「なんだ、やればできるじゃん」と、漢字王以来6年ぶりに学びの喜びを味わうことが出来ました。
クラスメイトから、「頭良いんじゃん」と、私の意外性を評価されたことで、ますますやる気が高まりました。
その勢のまま3年次に進むと、次々と学習の結果が形になって行きました。
1学期の総合成績は、最高順位である2位を修められ、同時期に、無勉で受けた英検準2級にも合格でき、集大成として評定平均の急上昇によって学校推薦入試で都内の中堅大学への合格をつかみ卒業を迎えられたのです。
小学校時に小さな成功体験となった漢字テストのように、やればやるほど結果が表れ、周囲にも評価される喜びは何物にも代えがたいものでした。
出身校で中堅大学合格は、快挙だったので、「自分は周りと比べて頭が良い方だ」とすっかり慢心を覚えていました。
本気を出せば可能性は無限大だなんて、少年ジャンプで使われそうな主人公の伸びしろを感じずにはいられませんでした。
大学でより頭角を現して充実したキャンパスライフを過ごせるのに違いない。
浮ついた気持ちで心が躍っていました。
しかし、現実はそう甘くはありません。
上には上があることをすぐに身にしみて痛感することになります。
快進撃のまま、満を持して新天地に踏み込んだ私でしたが、漢検3級受験時とは比較にならない挫折が待っていました。
大学入学編に続く