5月に入り、第23回国家資格キャリアコンサルタント試験の申込期間が終わり、受験モードに切り替わっている方も多いことだと思われます。
今回は、実技面接試験で、最も気になると言っても過言ではない「面接試験の正解」についての考え方についてまとめました。
ご存じのように、キャリアコンサルタント実技面接試験は、学科試験のように「正しい解答が一つ」あるものではありません。
ですが、試験制度である以上、試験官から採点をされることとなり、面接の出来具合が数値化されます。
模範解答や正答も公開されませんので、「何が正解なのか」合否通知が届くまで考え続ける受験生が多いのではないかと思われます。
私もそうでしたし、実際には合否通知で点数を見ても、どうしてその点数になったのかの答えはわかりませんので、「何が正解なのか」を判断すること自体が難しいと言えます。
今回は、試験本番で「何が正しいのか」という視点についての向き合い方や注意点についてスポットを当てています。
いきなりですが、下記動画でキャリコンシーオーの津田先生もおっしゃっていますが、実技面接試験の「絶対的な正解」というものは存在しないと思っていた方が良いかもしれません。
「正しい答え」に視点を当ててしまうと、結果的に点数が低くなったり、減点してしまうのではないかと、実際に面接を受けてみて感じました。
どういうことかと具体的な例をあげますと、「ロールプレイ中に浮かんできた相談者の【自己理解不足】【仕事理解不足】をより深堀しなければ、高得点を上げることができない」と思い込んでしまうと、別記事で「面接の注意点」として扱ったように、相談者を先導し、解決思考や査定目的のアプローチに変わってしまうリスクがあるからです。
相談者の背景や真相を知ろうとすればするほど質問が増えて、事実確認、堂々巡りになってしまい、時間が過ぎて行ってタイムアップなんてオチもあり得ます。
基本的な面接姿勢として、システマテックアプローチを根幹とすることは正しく、問題把握のステップまで進めようとする方向性は間違ってはいないでしょう。
問題把握のために、「答えを導き出さなければならない」「深堀をしなければ受からない」というような「○○しなければならない」思考を持って臨むと、上手くいかなくなってしまうパターンに陥る可能性が高くなります。
参考サイト
JCDA受検者は「経験代謝」、協議会受検者は「システマチック・アプローチ」を知ることから★国家キャリコン面接対策 | キャリアコンサルタント試験(国家・2級・1級)対策のオプティキャリア
そもそも面談相手のパターン(発話量が多い、少ない等)も、当日になってみないとわからない運要素が強いですが、たとえどのような相談者であっても、正解を求める姿勢を強く意識して接すると、「自己開示してもらえなくなる」という共通ルートを辿ることになる可能性が高いと思います。
なぜならば、相手は試験と言えど生身の人間であって、感情があるからです。
「絶対的な正解」は存在しませんし、正しさにこだわって誘導しようとする面接者の態度を察知するからです。
「○○したら不正解」「○○しないと受からない」という情報を耳にすることがあるとは思いますが、正解を探求することが試験の採点では求められてはいません(実際の面接もそうですが)。
私も試験が終わったからこそ冷静にまとめられていますが、本番では、イメージトレーニングのような展開には進まらないことから、「○○しなければならない」思考に切り替わりそうになりました。
「残り時間はあと5分。相談者から問題意識を引き出さないと、減点になってしまう」
という焦りは感じていました。
けれども、正解思考から、相談者ができる限り話をしやすくなるような応対に傾注し、相談者の気持ちや感情を引き出す方向性に舵を切りました。
初対面の15分間で筋書き通りの展開に進められることの方がレアですし、そもそも何が正しいのかどうかも自己判断にすぎず、実際は結果を持って分かることです。
そして、できなかったことは口頭試問で挽回できる救済システムも存在します。
試験後にネットで面接対策を調べていたところ、「話の途中でタイムアップに終わらないように努めること」という意見も聴きましたが、私は途中終了しました。
手応えがないまま不合格を覚悟している方の声も、私を含めて多数見受けましたが、合格発表日に「合格できました。信じられません」という声がこだましていました。
冒頭で、「今日は暑いですね。ようこそお越しくださいました」というアイスブレイクを導入することで、「展開評価」が減点になり、「面接官に時間の浪費だとマイナス印象を与えるリスクがあるから推奨しない」という声も目にしました。
私はロールプレイ練習ゼロで実務経験のみで臨んだので、いつもアイスブレイクを実践していたのでそのまま取り入れました。
ちょうどその日に限って激しい雨が降っていたので、相談者をねぎらう目的と、実務面接のように、いつもの調子でスタートを切れるように、そう振舞ったというねらいもあります(まさにロールプレイを実演している気分でした)。
面接ロールプレイについては、自己判断が絶対ではないことが実証されていると感じました。
突き詰めると、カウンセリング対応や対人援助職で、「何が正しいのか」は永遠の課題なのかもしれません。
私も対人援助職に就いて10年以上経ち、個人的に行っているカウンセリング活動を初めてから20年近く経ちますが、正しい答えを絞ることは難しく、常に探求しているような状態です。
その場ではわからずに、数年経ってから、相談者の変化等を通して判明するなんてこともかなりあります。
答えが一つに限らないからこそ、本番で思うように手応えがなくとも、合格できるとも言えます。
最後までやりきること、20分間(ロールプレイ+口頭試問全て)諦めないことが結果につながると信じています。