社会福祉士・精神保健福祉士資格を取得するために、がむしゃらになって勉強をしているものの、「合格後に活かせるのだろうか」という疑念が払拭できなくなる瞬間が訪れるかもしれません。
国家試験の行政書士試験等は、試験内容と実務がかけ離れているという点から、出題範囲から将来のビジョンを描きにくく、勉強のやる気を削がれている受験生も毎年のようにいらっしゃいます。
対して社会福祉士・精神保健福祉士試験内容は、実務を想定した事例問題や専門用語、病名や支援方法が多々あるので、勉強そのものの意義を感じる場面は少なくはないのではないでしょうか。
ただ、資格取得後の未来をイメージした時に、「本当にここまで頑張って労力と費用をかけてまで目指す価値があるのだろうか」と、ふと立ち止まる瞬間は誰しもがあると思います。
社会福祉士として12年、精神保健福祉士として10年実務に携わっている経験則から述べますと、両資格を取得したことのメリットをざっと思い出してみたところ、下記の4点が出てきました。
社会福祉士・精神保健福祉士資格取得のメリット4点について
・厳しい受験勉強で自分との闘いに打ち克った忍耐力や達成感が活かせる →業務で困難が待ち構えてきた際に、「あのとき頑張れたのだから、なんとかなる」と鼓舞できる場面が増える。
・他機関連携や職員との協働を進めることができる
→社会福祉士・精神保健福祉士試験のキーワード「連携」「つながり」であるからこそ、支援の過程で行き詰まった時や、職域の限界を感じた時、ストレス過多になった際に、自分で抱え込まずに、必要な人・機関にリファーや協力を仰ぐ力が培える。
・支援上で、視野や引き出しが広がる
→社会福祉士試験取得過程で、学生たちと事例検討をする機会があったことで、他者との協働作業の大切さを知り、他者視点を知ることができる。試験科目にある職業倫理、専門用語を業務上に置き換えて応用できて、広い視野で取り組むことができる。
・資格がないと仕事ができない
→資格資格のメリットについて、実はこの点が一番大きかったりしています。
私が就いているポジションは、社会福祉士取得が必須ですので、裏を返せば資格がないと、仕事が得られなかったとも言えます。
おそらく社会福祉士や精神保健福祉士資格を目指す方の多くがこのような理由で受験される方が多いのではないでしょうか。
資格手当が出て、直接的に収入に影響してくるような事業所もあるでしょう。 資格を持っていなくとも、人間的にも業務能力的にも有能な方がいますが、事業所のシステム的に、社会福祉士有資格者でないと任せられない役割が存在しています。
同じ職場内でも資格の有無によって仕事のフィールドや給料に差が出てくるという点で、大きなメリットを感じられています。
人生に関わることによる責任を負いたくないという方は、社会福祉士・精神保健福祉士資格を目指すメリットが少なくなると思います。
社会福祉士も精神保健福祉士も名称独占資格ですが、体感的にはその認知度と評価は年々高まっているように感じています。
職務上利用者の方に資格名を名乗っただけで、信頼して相談してくださった場面も多々ありますし、名称独占とは言え、有資格者でないと職に就けない条件も増えています。
資格取得後には辛い経験が多々待っているから
こう言ってしまったら、やる気が削がれる方もおられるかもしれませんが、誤解をおそれずに申し上げると、合格後に社会福祉士・精神保健福祉士になった暁には、試験勉強以上の苦労が待っているものです。
辛いこと苦しいこと、我慢しなければならないこと、自分の力だけではどうにもならないこと、試験問題のように用意された正解が存在せずに自分で考えて取捨選択しなければならない場面が多々訪れます。
試験の世界では正しい答えを一つないし二つ選ばなければならないわけですが、実務の世界では正解が何なのかを常に考えて行動を続けることとになり、生身の人間相手だからこそ一つや二つの正解と単純化できない事情があります。
相手の生命や人生に影響する立場でもあるので、付け焼き刃の知識や接し方で関わることのリスクを常に肌で感じることになります。
つまり、責任を常に意識しなければいけなくなるわけですが、そんな時に、受験勉強で培った忍耐力や自分独りで乗り越えようとしない力というのが影響してくるものです。
複雑な背景を抱える人間が増えており、社会福祉士や精神福祉士の社会的や使命や需要が年々高まって来ています。
相手の人生に影響を及ぼすからこそ、簡単に誰でも受かるような資格ではあってはならないと感じることが多々あります。
このブログとは別に活動しているカウンセリング・執筆活動の中でも、社会福祉士取得のおかげで仕事を与えてもらえたり、資格取得を目指して通信制の学校に通うようになられた方もいらっしゃいます。
他者とかかることで、知らないうちに引きずられてしまい、身も心もすり減ってしまうものですが、セルフケア等を学んでいることで、自己メンテナンスも図れます。
自身の健康管理は何よりも重要になってくるので、自分だけで抱え込まずにストレスとうまく付き合う方法のヒントも受験勉強から掴み取ることができます。