※今回の試験問題内容の是非については触れていません。合格点に関しての特化記事になります。
今日で第37回社会福祉士国家試験が終わってから4日が経ちますが、今年は「合格点が6割以上になるのではないかと不安で仕方がない」という生声が毎日のように届いています。
おそらく声に出さずとも、合格点が何点になるのか気にされている方はかなりおられると思っています(私も受験後はその一人でした)。
さかのぼること第19回試験から17年以上試験の動向を観察してきましたが、第33回、32回社会福祉士試験では自己採点で90点前後の方から不安な声が木霊していました。
第31回試験終了後は90点以上でも不安な声が多く、その要因は第30回試験の99点の大波乱が歴史に残ってしまったことが想像できました。
第31回試験終了後は100点以上でも、「不安で夜も眠れない」という声も多く寄せられました。
今回は、第35回試験、第36回試験から続いているように6割になるのかという不安を覚えていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
同じ6割合格点でも、回によって合格率(合格者数)の差が開いているのも加わり、新カリキュラムの今回がどうなるのか気になるのは当然だと思います。
今年は拙ブログの自己採点投票の暫定投票を見ると、70点~77点くらいまでの得点層に投票率が密集しています。
60点以下の方が全体の約5%、61〜64点までの方も約5%おられる状況です。
↓150点満点中です。
第36回試験時は、100~107点まで密集していました。
第35回試験時は、97~110点まで密集していました。
第34回試験時は、100〜105点まで密集していました。
第33回試験時は、86~98点まで密集していました。
第32回試験時は、85〜98点まで密集していました。
第31回試験時は、88〜97点まで密集してました。
第30回試験時は、120〜129点が最も多く、87〜105点の幅が密集していました。
赤マル福祉の暫定全体平均点が約77.3点(得点率約60%)で、不安が募っていらっしゃる方が多いのかもしれません。
その数字だけ見ると、絶望的な気持ちに陥る方もおられるかもしれませんが、例年平均点からはかなり下がった点数が合格点になっています。
比較的得点率の高い方が利用する傾向があるからです。
前回の試験で80点台だった方がリベンジ受験されて底上げをしたこと、記念受験組の減少から、得点が高かった方の利用が少なくはないと思われます。
合格点が6割ジャストの昨年度(第36回)試験は、試験終了4日目時点で107.7点で、得点率は約71%ですので、今回の試験との得点差が明確に分かれていることが判明しました。
3年前(第34回試験)の開始時は、107.8点でしたので、拙ブログ暫定自己採点と赤マル福祉の自動採点の幅がほぼ共通しております。
昨年度同様の60%程度の合格率ならば、6割合格点設定はまずないであろうと見立てます。
算出根拠は、赤マル福祉の暫定平均点と拙ブログ暫定自己採点投票になります。
ちなみに、史上最低点は第25回試験。
150点中72点、得点率は48%で、合格率は18.8%です。
6割合格基準難易度補正が前提で、昨年度合格率を過去最高の50%台後半に収めたのにはどんな事情があるのでしょうか。
第一には、第34回試験の100点超の影響が大なことは誰もが想像できるでしょう。
第34回試験合格発表後に、一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟会長が、今後の合格基準点についての意見を出されました。
日本社会福祉士会も「社会福祉士国家試験制度の見直しに係る意見について(詳細版)」の中で、「最低でも合格率60%以上の水準で設定するべきである」という声明をされたことが大いに影響していたと思われます。
令和3年9月に、厚生労働省「社会福祉士国家試験の在り方に関する検討会」構成員に向けて、一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟が提言されています。
新カリキュラムの在り方に対して、「社会福祉士国家試験制度の見直しに係る意見について」という形で言及されています。
「社会福祉士国家試験制度の見直しに係る意見について(詳細版) 」
新カリキュラムに基づく国家試験の施行にあたっては、合格基準 60%程度で合格率がまずは最低でも 60%以上の水準で安定するよう試験問題の水準の適切さを確保すべきである。
新カリキュラムの国家試験では、まず精神保健福祉士と同水準以上の合格率を実現し、その後速やかに他の医療系国家資格と同水準の合格率とすべきである。
この声明をもとにするならば、今回の試験で合格率60%以上にするならば、6割基準とはならないのではないかと個人的に見立てています。
相対評価の国家試験合格点基準を考察する上で参考になるのが、2021年9月に実施された厚生労働省と文部科学省共管の第4回公認心理師試験です。
試験開始以来毎回6割基準に収まっていましたが、初めて6割超えとなりました。
合格率は上昇しており(第4回試験は58.6%第3回試験は53.4%第5回試験は48.3%)、なぜそうなったかと言えば試験難易度が前年度よりも低かった(高得点者が多かったから)というものがあります。
前置きはさておき、ズバリ何点に収まるのかという一点予想は明言出来ないところがあります。
前述したように、私は10年前からピンポイントボーダー予想を控えています。
不安なみなさんに対して、「前回と比較して◯◯点台の可能性がある」というお声がけは行っていますが、「◯◯点になるでしょう」という断言は述べていません。
実は第26回試験までは、ボーダー予想を立てていました。
実際には私が受験した第24回試験から毎年ボーダー予想を明示してきました(第24回は某SNSにて)。
第24回は81点予想でぴったり当たり、その勢いで第25回試験では、試験前の予想を反する試験の難化具合から、70点~75点に収まると唱え続けました。
前代未聞の80点以下という予想に賛否両論の声が寄せられました。
「そんな低いはずがない」
「国家試験が5割基準(75点以下)を下回るなんてありえない」
このような意見も多数寄せられましたが、私の中では80点以下になるであろう確信があったのです。
そして蓋を開けてみれば、72点という史上初の最低水準の点でした。
合格発表直前には、「たとえボーダーが外れても、責めません」というお言葉もいただいていました。
合格発表後に開催した合格祝賀会の参加者からも「救われた」と直接声をかけていただき、それほど私の意表を突いた予想の反響があったことがうかがえました。
私の予想で救われて、希望を持てたという合格者の声を受けて、第26回も予想を続けました。
82±1点
これまでと同じ算出法でした。
しかし、蓋を開けてみれば84点という予想を上回る点でした。
過去の2年間は当たったものの、予想を外してしまったことで、当てることの難しさを再認識させられました。
合格発表日に、83点以下で不本意な結果に終わった方の気持ちを汲むと、自責の念が拭えませんでした。
ブログで情報を発信することで癒される方も傷つく方もいる。
忘れもしない7年前、99点という当時初の結果に終わった合格発表日後に、合格点99点という心のやり場のない試験結果を受けて【試験のあり方を考えるか】という記事を発信したことを思い出しました。
絶対合格ブログ史上に残るほど大荒れした記事で、怒りと憎悪とやり場のない怒りにとめどなく覆われてしまった展開になりました。
合格された方でねぎらいの言葉をかけてくださった方もいらっしゃいますが、「そんな言葉を言われたくない」という哀しい声も響いていました。
それ以来ブログ上からは姿を見せなくなられた合格者の方もおり、今でもトラウマに残っている出来事の一つになっています。
合格点については受験生にとって敏感だからこそ生半可な言及はできない。
以後もつくづくそう感じさせられています。
仮にこの状況で、合格率を大幅に絞ってまで6割基準が再び設定されることは、相対評価の国家試験としてのあり方を揺るがすこととなり得るので、6割超になるとは安易に言えませんでした。
毎年合格発表日の電話企画でも、「あの時、合格予想点を高めに出してくれれば期待せずに済んだのに」という本音をうかがうこともあり、その都度胸を痛めていますが、合格点を的中させることは本当に難しいのです。
2015年2月6日付で、赤マル福祉のツイートで下記のような文章がありました。
赤マル福祉では合格予想点は出しません。
確かに点数が良くなかった人にしてみれば合格予想点を出すことで少しでも気が楽になると思う。
だけど、合格発表の日に現実を突き付けられ、結果的に、より深く傷つけてしまうかもしれない。
だから不用意に合格予想点を出すことはできないのです。
私の胸の内を代弁してくれたような思いがしました。
以上の理由で私は第27回から一点予想をすることを止めました。
ブログを続けてメッセージをそんな私だからこそできることは、合格を祈ること、願うことという結論に至りました。
合格点が何点になるのかの予想は本当に難しい。
第34回試験時に、105点になると予想されていた方がどれだけいたのかを振り返ればそのことが分かると思います。
ブログ上では「予想はよそう」と言う結論に至り、具体的な点数予想は控えさせていただいております。
特に新カリキュラム第一回目の今試験は、得点も変わり、難易度の関係からも予想することが非常に難しいです。
とりわけ自己採点が60点台から70点台の方々は、合格発表まで不安がなかなか拭えないのではないかと想像しています。
合格基準は6割で難易度補正という基準が想像を膨らませる要素にもなっていますが、
私は今回の難易度からは6割以上設定は考えにくく、70点以下に収まる可能性を想定しています。
合格者数をどの程度輩出するかによって、合格率と合格点が決まってくるので、このような言い回しになります。
※第36回試験時は、30%以上の合格率となり、99点以下に収まると見立てました。
※第35回試験時も、今回は30%以上の合格率となり、99点以下に収まると見立てました。
合格率30%以上と99点以下を同時に予想された方はほぼ見られなかったと記憶しております。
待つのみがキツイというところでしょうが、私は当時、合格ライン情報や自己採点情報を頻繁にチェックするなど、ジタバタあがいて過ごしていましたので、人それぞれでどんなアクションを起こしても自由ですよね。
5年前の11月に、社会福祉振興・試験センターから5年ぶりの「就労状況調査」が送られてきました。
対象者は、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士の登録者です。
その中で、今回調査を実施することになった旨が下記のように書かれています。
3福祉士は、それぞれの制度発足以降、着実に登録者数が増加し、所属する施設や事業所、病院等において福祉・介護の専門職としてご活躍いただいており、近年、医療・福祉・介護ニーズの多様化複雑化に伴い、その重要性が益々高まっております。
一方で、少子高齢化が急速に進む中、人材不足といった課題も生じており、3福祉士の資格を有する方々が医療・福祉・介護分野において更に活躍できるよう、厚生労働省としても様々な取り組みを行っているところです。
AIとDX化が発展しているこのご時世ですが、それられには代えがたい福祉職のニーズと専門性は高まっています。
貧困層はますます広がり、精神疾患を抱える方の支援や生きづらさを覚える方への調整がより必要になってくるでしょう。
質の高い社会福祉士や精神保健福祉士を必要とする社会情勢は分かりますが、だからと言って、新カリキュラム一回である今年から合格点を6割点以上で合格率を第34回以前の30%程度に収めるという極端な動きにはならないとは思っています。
点数もそうですが、正答の行方が気になる方も多いでしょう。
合格発表日当日の正式解答によって自己採点より合格点が数点アップするという可能性は大いにあります(第34回、第35回試験時のように発表日に複数正解や全員得点が発表されるケースもあり)。
毎年、自己採点より合格点の方が上なのに受かったという声も寄せられているので、結果は最後まで分かりません(第31回試験、第28回のように不適切問題が2問あって88点という結果もあります)。
前回の合格点を超えるのではないかという、とてつもない不安を抱えているお気持ちはとても共感できるところが大きいため、5807文字もの分量になりました。
参考程度に、第5回公認心理師試験を3年前に受験した私ですが、自己採点が147点で、前年度の合格点は143点でした。
4点も差があるのだから、心配は少ないのではないかと思われる方もおられるかもしれませんが、事例問題が1問3点なので、1問の重みに押しつぶされそうになっていました。
拍車をかけるかのように、赤マル福祉自動採点成績表のような受験生統計サイトを見ると、驚愕の平均点150点超という事実を突きつけられて、絶望的な40日間を過ごすことになったのです。
当時の様子をまとめた記事
合格点が第4回試験の143点を超えたら一巻の終わりだとヒヤヒヤものでしたが、蓋を開けてみたらまさかの合格基準点138点以下の135点となり、いかに高得点者が自己採点に参加していたのかを知ることとなりました。
※第5回公認心理師試験の受験者数は約32000人で、そのうちの上位2000人中心が自己採点に参加していたことが分かりました。
第37回社会福祉士試験の受験申し込み人数は約31000人です。
結果がわからないからこそ、希望を持つことで、具現化しやすくなりますように、合格の可能性があるみなさんに向けて、暗闇に光を照らせるような記事、少しでも不安な心が和らげるような記事を心がけて発信してまいります。
追記