社会福祉の仕事において、様々な背景を持つ老若男女の支援過程では、自分自身の人生経験や見識が大いに役立てる領域でもあります。
引きこもり、不登校、退学、落第、不合格、仲違い、病気、休職、退職、失業、無職、転職、失恋、離婚、死別etc。
人生の中でもストレスが高いと言われている転機を経験したこと、思い通りに行かずに、回り道をしてきたような経験から得られた視点が、複雑な課題を抱える対人支援において活用できるからです。
先行き不透明なこのご時世で、取り組むことの「意味」とか「効率」を求められがちな社会ですが、一見無駄に思えるようなチャレンジや、寄り道のように感じられても、後になって、経験して良かったと振り返れるようになります。
心の痛みを知り、そこから這い上がった人間ほど、対人援助職では必要とされる存在になれるのではないかと私は思っています。
アンパンマンの作者で94歳で亡くなられたやなせたかしさんがブレイクしたのは、69歳でした。
30代から50代は絶望のトンネルを彷徨っているような日々で、漫画家になりたい思いとは打って変わって仕事もチャンスも恵まれず、朽ち果てそうになったこともあったそうです。
しかしながら、与えられた仕事をこなしていると、「何でも屋のやなせさん」というふうに評価が高まって行き、「手のひらを太陽に」と言った有名曲の作詞作曲なども手掛けるようになりました。
絶望しても止まらずに、目の前の課題に取り組み続けたことでチャンスが舞い込んできたのです。
やなせさんの作品からは、ご自身が経験した出来事(戦争等)やそこから得た正義、幸せとは何かについて触れられている内容が多いです。
自分に絶望しても、いつ必ずこれまでの経験が誰かの役に立てるから。
今がどれだけ辛くても、諦めずに今できることを積み重ねて行くことで、トンネルの出口が見えてくるかもしれません。
