17年前に知り合った福祉職の元同僚が、60歳を超えてから第31回社会福祉士試験(150点中89点)に初受験で挑み、見事100点以上の高得点で一発合格を果たされました。
年々物覚えが悪くなっていくことを強く自覚されていた中で、どのような勉強法を実践されたのか。
お話を伺うと、その手法は「60代以降の脳の特性」に合致しているだけでなく、新カリキュラムへ移行し応用力が問われるようになった「最新の試験傾向」にも見事にフィットするものでした。
今回は、その知人のエピソードから学ぶ、年齢の壁を越える効果的な学習アプローチをまとめました。
1. 手作りの「単語帳」で手を動かし、五感で覚える
知人は「記憶力には自信がないから」と、少しでも活字を脳に浸透させるために、単語帳の表にキーワード、裏に意味を書く手作りの受験グッズを駆使していました。
60代以降になると、新しいことを単に丸暗記する「流動性知能」は確かに低下しやすくなります。
膨大なカリキュラムをテキストの文字面だけで真っ向からインプットしようとすれば、オーバーヒートしてしまうのは目に見えています。
しかし、単にノートに書きなぐるのではなく、「単語帳を作る」という手作業(触覚)を交え、クイズ形式で視覚的に楽しく反復する工夫は、脳を刺激し記憶の定着を助けます。
グッズ作りは時間がかかると敬遠されがちですが、知人は夏から受験準備を始めていたため、焦ることなく「手を動かして覚える」時間を十分に確保できていました。
早期スタートによる時間的余裕が、この学習法を可能にしたのです。
2. 「過去問実践クイズ大会」でアウトプットを極める
これが最大の合格の秘訣と言えます。
知人は独学にとどまらず、スクーリングで顔を合わせる20代、30代の同級生たちと「過去問実践クイズ大会」を開いていました。毎回1〜2時間、過去問の5択問題を出し合うというものです。
ここでの重要なポイントは、ただ解く・正解を当てるのではなく、「なぜその選択肢が正解(あるいは間違い)になるのか」という理由を自分の言葉で説明できるまで学習を重ねたことです。
分からない問題は、その場でテキストやネットを使ってリサーチし、腑に落ちるまでメンバーと共有していました。
【最新の試験傾向との合致】
現在の社会福祉士試験(新カリキュラム・129問体制)は、過去問の単なる「暗記」では太刀打ちできず、事例問題をはじめとする「応用力」や「根拠を問う問題」が激増しています。
「なぜそうなるのか」を言語化するこのクイズ大会の取り組みは、まさに最新の試験が求めている「本質的な理解力」を養う最強のトレーニングです。
【60代以降の強み「結晶性知能」の活用】
60代以降は、これまでの人生経験や知識を結びつけて理解する「結晶性知能」が高まります。
多世代のメンバーと対話し、分からないことをその場で調べて「なるほど、現場のあのケースと同じだ」と文脈で理解していく学習法は、年齢を重ねた強みを最大限に活かせるアプローチです。
一人での黙読(インプット)に限界を感じた時に、他者への説明(アウトプット)へ切り替えた見事な戦略でした。
独学の静かな時間と、集団学習での活発なアウトプットを交錯させ続けた結果、知人は見事に初回合格を果たし、共に学んだ多世代の学生たちも全員合格という快挙を成し遂げました。
年齢による記憶力の低下は、工夫次第で十分にカバーできます。
むしろ、これまでの人生経験と「なぜ?」を追求する探求心さえあれば、絶対合格エンジンは強力に稼働するのだと、深く感心させられるエピソードです。
これから本格的に学習をスタートされる皆様の参考になれば幸いです。
