大学に入学してから、私自身の問題以外でショックを覚えたことがありました。
それは、周りの同級生達の中で、母校を誇りに感じている人が皆無だったことです。
一般入試組は、難関大学の滑り止めとして受験していた人がほとんどでした。
第一志望に落ちて入学した組の集合体は、
「この大学じゃ就職はかなり厳しいよ」
「もう少し勉強していればあの大学に受かってたのに」
なんて口癖の人がたくさんいました。
当の私は、単願推薦入試で、潜り込めた身です。
自分よりレベルが上の同級生達に囲まれていたため、複雑な胸中で彼らの嘆きを聴いていました。
同時に、彼らの不安を自分に当て嵌めると、先が真っ暗になりました。
世の中、自分の大学より偏差値が高い大学はたくさんあるし、この環境で底辺に位置する自分が、就活で他大生に勝ち抜けるはずがないんだ。
ハンパない危機感に支配されるようになりました。
そんな自分ですが、具体的にどうすれば自分を変えることができるかの術を知りませんでした。
時間は流れて、大学2年の夏休みに入る直前に、リクルートに就職したOBによる在校生向け就活フォーラムがありました。
母校から一流企業のリクルートに就職できた時点で、そもそも才能が違うエリートだからだと冷めた目で見ていましたが、そのOBが話してくださったセリフが私を変えるきっかけになりました。
大学生活には二通りあります。
一つは、何も残さないまま卒業してしまう人間。
大半の学生はこの部類に当て嵌まります。
二つ目は、大学時代に何かを残せた人間です。
この「何か」を見つけて努力できた人は、就職した後も強い。忍耐強く、自分に自信を持っているから、ちょっとやそっとの苦難ではめげないからです。
みなさんは、これからの大学生活2年間の中で、これだけは頑張ったと言える何かを残してください。
入学後、OBがかけてくれたこの言葉ほど強く心に響くものはありませんでした。
このまま行けば間違えなく自分は前者のパターンになってしまう。
こんな自分でも腐らずに何かに挑戦したい。
今までにない気持ちが胸に芽生えました。
この瞬間から、確かに錆びついていた秒針が動き始めました。
それからの私は、入学後初のアルバイトを開始して、自堕落な生活リズムを変えて行きました。
そして、大学3年次になると、漢検2級受検を決意しました。
◆ 資格の登竜門として漢検2級を選んだ理由は
なぜ漢検2級を目指したかについてですが、一つは自分が文学部に在学しているという関連性から、一般教養としてという理由でしたが、一番は、中学時代に3級を受けて不合格になったあの苦い過去を払拭したいという気持ちが一番強かったのです。
漢字博士と言う小学時代の栄光にすがったまま受検したものの、同級生の中で自分だけが不合格になってしまったあの出来事です。
「見返したい」と言う表現は的確ではないのかもしれませんが、「自分はこんなものではない」悔しい無念を2級合格で晴らしたい気持ちでいっぱいでした。
人生初めての継続的な試験勉強に着手しました。