京都亀岡市交通事故で、加害者の父親が、被害者の電話番号含む個人情報を警察官から聞き出して、警察官は遺族や負傷者に無断で伝えてしまった。そして加害者の父親が謝罪のために直接被害者に電話をかけたことが発覚したというニュースがありましたが、
「被害者の立場が尊重されてないではないか!」と、憤怒された方も少なくはないと思います。
状況は限られますが、更生保護法の中に、保護観察官が被害者と加害者のパイブ役となって、被害者の心情を伝える「心情等伝達制度」」があるんです。
今回は、近年の社会福祉士国家試験にて、2回くらい出題されている被害者保護のための「心情等伝達制度」について、ご紹介します。
心情等伝達制度は、2009年から開始されました。
被害者の精神的な安定を図る一方、加害者の更生につなげるのが狙いです。
加害者が保護観察期間中に、被害者やご遺族等の方々の被害に関する心情、その置かれている状況、保護観察中の加害者の生活や行動に関する意見を聴きいて、これを保護観察官が、心情等を聴取した書面を、加害者の面前で朗読します。
保護観察中の加害者に対しては、被害の実情等を直視させ、反省や悔悟の情を深めさせるよう指導監督を行います。
制度を利用できる期間は、加害者が保護観察を受けている間で、被害者や遺族等の方々は、被害者等通知制度を利用することにより、保護観察の開始を知ることができます。
制度を利用できる方は、
(1)被害者の方
(2)被害者の方の法定代理人
(3)被害者の方が亡くなった場合又はその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹の方です。
現実的には、制約があったり等、まだまだ制度的改善の余地があるようです。
第24回の更生保護分野においても出題されたため、次回も類似問題が登場するのかは解りませんが、この制度があることを念頭に入れておくと、いざという時に役立てる場面もあるかもしれません。