彼を知り己を知れば百戦殆うからず
ということわざがあります。
彼を知り己を知れば百戦殆うからずとは、敵についても味方についても情勢をしっかり把握していれば、幾度戦っても敗れることはないということです。
この教えは、精神保健福祉士・社会福祉士試験を初めとした資格試験に挑む上でもとても大切な考えです。
彼を知り=試験の全体像を知る
己を知る=自分自身の特徴を把握する
ということです。
つまり、勉強に取り組む上の事前準備として、試験の特徴を把握して自分に合った勉強スタイルで戦略を練ることが大切であるということです。
社会福祉士試験を例に上げるならば、全19科目の中、初めから満点を目指す必要はありません。
基本は全科目1点を死守した上で、合計で90点以上を出せるような実力を備えればOKでした。
その常識が覆されたのが第30回試験だったわけですが、その余波から、第32回試験で7割以上の点数を超えないと合格できなくなるという構成に変更する可能性は限りなく低いと思われます。
もしもそうなる場合ならば、今年度試験の概要発表において、合格基準の「6割基準」部分が変更されることが予想されます。
第33回試験でどのような合格基準点が用意されるにしても、満点合格を目指さずに、過去問からの類似問題と基礎知識を確実に定着されることで絶対合格を実現させるという基本方針を今後も推奨していきます。
第19回試験以降の試験傾向を総合的に勘案しても、上記のポイントを押さえることが王道だと言えるからです。
膨大な科目量がある中、まんべんなく同じ点数を出すことはかなり困難なわけで、得意科目と苦手科目を把握した上で事前学習でバランスを整えて行くことが肝心になってきます。
初めて受験される方にとってみては、通信学校や大学の講義で受講した中で、「この科目は苦手だ」「この科目はわかりにくい」「この科目はわかりやすい」という感覚が芽生えているかもしれませんし、初めて問題集を購入した際にざっと全科目を見渡してみることで、第一印象から判別出来るかもしれません。
再受験者にとってみれば、一度試験を経験していることで、弱点と得意分野の把握は一通り出来ていると思われるので、その点を重視しながら来年の試験を見据えて行けます。
また試験の特徴としては、先日も紹介しましたが、「社会問題提起」「現場の事例問題」という出題が毎年多めに用意されていることも特徴です。
日頃から福祉のニュースに関心を持ち、「自分が社会福祉士・精神保健福祉士の立場だったら」又は「自分が利用者の立場だったらどうなりたいか」という視点を持つと理解も深まります。
次に、己を知るということについてですが、勉強を継続する上でのモチベーションにも影響してきます。
例えば、私を例にするならば、「短期勝負型」「神経質型」だと自覚しています。
私がこれまで資格試験にチャレンジしてきた軌跡を振り返っても、やる気スイッチが入るのは、いつも試験の直前、一ヶ月~三ヶ月前でした(中には一週間前になって本腰を入れた試験もぼちぼち)。
長期間コツコツ型ではない分、試験直前の数ヶ月は、神経を注ぎました。
物事を深く考えすぎたり、未知の物に対して、極度に不安になってしまいがちな性格なので、試験勉強中はしばしば障害が立ち塞がりました。
この勉強法は間違っているのではないか。
マークミスがあるのではないか。
そもそもこんな自分が資格を目指すこと自体が間違っているのではないか。
勉強とは、自分との闘いでもあるので、ふと不安が脳裏を支配してくる瞬間が多々ありました。
そんな時は、決まって私生活や仕事がうまくいっていない時、勉強の結果が数字に表れない時なんですよね。
資格取得を目指すことは、逃げなんじゃないか。
こんな自分なんかが受かるわけないのではないか。
考えすぎて、不安がピークに達すると、このような結論に至ってしまうこともありました。
このようなスランプや窮地に陥った場合、自分なりのセルフケアをどのように施して再起することが出来るのかが肝心になってきます。
私は不安で仕方がなくなった時は、一人で抱え込まずに、信頼できる友人に話を聴いてもらうことがあります。
また、個人的に行っている学生や社会人の悩み相談を聴かせていただくことで、自己肯定感を回復させたりしています。
自分を必要としてくれる人間の存在は、自己を見つめ直す上で大きいです。
他にも、セルフセラピーとして、逆境を乗り越えた著名人や昨日紹介したような精神科医の著作を読んで気分転換を図ります。
他にも、「楽して合格したい」という思いが根本にあるので、短期間で合格のために必要な努力のみに傾注しています(過去問重点法はここから来ています)。
世の中的には「楽して合格するのは甘えているし、そんな簡単に受かるわけがない」とか、「そんな人間が合格出来たとしても資格を活かすことが出来ない」という厳しい声が飛び交っているのは知っていますし、私もそのような言葉を掛けられたこともあります。
けれども、私はこれまで受け続けてきた試験勉強は、「楽」という漢字一文字を最重視しなければ合格を成し遂げることは出来ませんでした。
楽の具体的なニュアンスは、省エネで勉強に取り込むスタンスとも言えますが、「勉強を楽しむ」という意味合いも含まれています。
社会福祉士試験の場合、全部網羅しようとすると膨大すぎるカリキュラムで楽しみながら勉強に取り組めるような精神状態ではなくなってしまいます。
19科目全てをマスターしようとすると無理がたたって、ドロップアウトしてしまう恐れがるので、自分が選んだ問題集を一冊網羅してみるという目標をこなしてみることが大切です。
第32回社会福祉士試験合格者の声を見ても、「浮気せずに自分が信じたテキスト・問題集をこなす」という方法で結果を出された方が複数いらっしゃいました。
社会福祉士試験の勉強は単に問題を解いて覚えるだけだとイメージがつかみにくいところが出て来ますし、モチベーションも維持出来なくなってしまう時期も訪れるものですが、一度社会に目を向けてみると、「試験問題は机上の空論ではなくて日常生活に直結している」ことに気づき、一気に理解度が進むという場合も往々にしてあります。
試験の特徴と自分の特徴を把握すること、長期戦で合格を勝ち取るためには大切な考えになってきます。