近年の法律系国家資格(宅建試験、行政書士試験)の試験傾向を見ていて、つくづく感じることですが、
過去問をただ丸暗記しただけでは、合格できないレベルになってきているということです。
平成18年以降に試験改正してから難化傾向になった行政書士試験や、平成21年から実務に伴ったような応用力が求められるように変わった宅建試験、そして社会福祉士試験を含めて自分自身で受けてみて実感しています。
行政書士試験では、受験勉強で得た知識をベースに、問題の主旨に沿って的確に使い分けることができるか、文章から登場人物の関係図をイメージして、解答を導き出せるのかを求められているような出題がベースとなっていました。
人によっては、法的思考と解釈している方もいらっしゃいますが、思考型の問題が軸となっていました。
行政書士試験は、3時間という限られた時間の中、記述式を含めた全60問を忍耐強く解くことが求められています。
社会福祉士試験が全150問あるだけに(午前・午後で分かれますが)、60問という数字だけを見ると、「180分もあれば、なんとか解けるのではないか」と思われるかもしれませんが、行政書士試験は、近年の社会福祉士試験のように問題文と選択肢一つ一つが長文化しているという点が共通しています。
近年の宅建、行政書士、社会福祉士国家試験のどれを並べてみても、過去問をただ闇雲に詰め込んだだけでは、合格ライン突破のためには大変厳しくなっています。
例えば宅建試験は受験生の質によって合格ラインが上下する相対評価なのですが、平成22年と23年の2年連続7割以上を取らないと受からないという高水準であった事実を見ても、基礎力を身に付けていることが当然であるようになっています。
この動向は国家試験だけではなくて、今年の3月に実施された第16回メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種試験においても如実に表れています。
毎回合格率が55%前後だったのですが、この回は35%という最低水準の結果に終わりました。
ただ過去問を覚えただけでは通用しないようなテキストからの細い問題や、読解力が求められるような言い回しにクセがある出題が特徴的だったようです。
社会福祉士試験では、過去問から言い回しを変えたような類似問題が出題された時に、短時間で冷静に解答できる瞬発力、判断力が求められます。
そして、運の力も影響します。
ランダムに出題される行政書士試験の一般知識問題は、この運によって、合否が左右されると言われていますが、社会福祉士試験においても、「なんでこんな問題が出るの」「そんなの聞いたことがないよ」というような初見問題が必ず出されます。
そんな近年の試験に合格するためには、基礎力を確実に身につけていることが必須で、「なぜそのようになるのか」を理解していて、実際にその知識をどう活かせるのかの知恵を発揮できるかどうかが要です。