近年の社会福祉士本試験傾向 <問題の長文化について>
第24回社会福祉士の合格率は26.3%、合格ラインは81点でした。
第6回(平成6年)22.3 %以来の合格率の低さでした。
試験を解き終わった受験生達は異口同音に、次のような感想を吐露していました。
・時間が足りなくて、見直しができなかった
・過去問で見たことがない問題が増えた
・奇問難問が多かった
これは、初受験者のみならず、多年受験の方も共通して声に出していました。
実際に初回受験した私も、上記の3点を身にしみて感じていました。
まず、時間が足りなかったことの要因として、事例問題の長文形式が目立つ点です。
前年度と同様、専門科目の「相談援助の理論と方法」が最も出題数が多いです。
全体では、単問事例については出題数が22問でした。
これは、社会福祉士試験に限った話ではなく、近年の国家試験においても顕著になっています。
社会福祉士と出題科目(民法)で被ることが多い、宅建や行政書士試験の過去5年間の試験動向を見ても、問題文や選択肢が長文化している形式が増えています。
(宅建で言うならば、宅建業法科目が典型です。平成21年度の試験改正により宅建業法が16問に20問に増えたことが影響しています。行政書士試験は平成18年度の試験改正以降に長文化が如実になっているようです)。
事例問題や長文問題で求められているのは、「読解力」や「スピーディな判断力」です。
本試験では、全150問を、1問につき1分30秒くらいで解かなければなりません。
そもそも、なぜ事例問題が多かったり、長文傾向になっているのかというと、現場に求められている実践力や判断力が具現化されている点と、受験者達をふるい落とすために、困惑させるねらいがあると考えられます。
次回も触れますが、過去問やテキストで暗記した重要キーワードなどの知識を、現場を想定した長文問題の中で、適切に使いこなせるかが問われています。
社会福祉士試験で言うならば、事例問題が目立つ専門科目の「相談援助の理論と方法」は、得点源です。
しっかりと事前学習を重ねて取り組めば、初見の事例問題が出題されても、対応できます。
事例ケースは想像しやすくて、現場経験がなくても常識的センスや消去法で解けるような素直な問題が大半です。
長文問題は、確実に得点をゲットできるサービスポイントですから、8割くらいの正答率を目指して確実にゲットしたいものです。
次回は、社会福祉士国家試験における、過去問使用の是非についての考え方について解説します。