◆ 没問によるボーダーUPの恐怖
合格発表日一週間前のタイミングで、機構のHPにて、想定外の発表が公開されました。
問48の統計問題の解答に、日本語表記の誤記があり、正解が存在しない問題となり、全員1点加点という処置になったのです。
私は模範解答で正解していたため、恩恵はありませんでしたが、もともと別の選択肢を選んでいた人は+1点になりました。
没問の影響により、合格ラインが上がることが確実視しされました。
これに伴って、みやざきさんや、宅建ゼミナールがボーダー予想の上方修正を行い、割問の問42次第では、去年と同等の36点どころか、史上初の37点になる可能性も出てきました。
一方で、「問48は、5点免除の問題なので、合格ラインを上げてしまうと、免除組みが不利になるので、ボーダーは上がらない。むしろ救済措置として合格率が上がるだろう」という、一部のネットユーザー達の見解も挙がっていましたが、前回没問が生じた平成3年と、前々回の平成2年の年の合格率を見ても、14%前後と低かったので、結局のところどうなるのかは読めませんでした。
残り7日間になって、「今年は史上初の37点ボーダーになる」と言った、某巨大掲示板サイトを筆頭としたネット上に出回る根拠のない情報に振り回されながら、悲願の思いで当日を待ちました。
◆ 深夜の合格点フライング発表
合格発表日の深夜に、週刊住宅オンラインが合格率・合格ラインなどのデータをフライング発表しました。
過去2年間の流れからして、今回も同様に違いないと、スタンバイしていました。
時刻になると、ネット上からはアクセスが殺到していて、20分くらい更新ボタンを押し続けても、表示されなかったため、携帯電話からアクセスすると、「最新ニュース」から、簡単に表示されました。
「宅建試験、合格ラインは36問」
という非情な数字タイトルを目の当たりにした時は、真っ青になりました。
この瞬間、一ヵ月以上も騒がれてきたボーダー予想議論に終止符が打たれ、一瞬にして現実を突き付けられるのです。
「今年もダメかも」という絶望感が私を支配しました。
「10月下旬に、“34点または35点”と、上方修正をした的中率が高いLECのボーダー予想はなんだったのか」
「2年連続で36点とは、宅建試験の変革期を意味するのか」
「合格率が16.1%!?没問の救済措置はなかったのか」
かすかな期待を捨て切れずに、朝までほぼ一睡もできないまま起きていました。
時は刻々と過ぎていきます。8時20分頃になると、親には、
「ごめん、今年も落ちたと思う」と言い残して、出勤のために家を出ました。
「また来年も受ければ良いじゃん」と、希望を失いつつある私に言葉を返してくれました。
◆ 通勤ラッシュの駅のホームで、想像もしなかった結果が唐突に訪れた
機構の合格発表の9時30分頃は、ちょうど職場の更衣室で着替えているので、携帯電話から合否発表を確認するつもりでしたが、もしも不合格ならばショックのあまり一日仕事できそうにない最悪の近未来予想図を想像すると、電車に乗る前から重く圧し掛かりました。
駅に着いて間もなく、携帯に母親からの着信が鳴りました。
「忘れ物でもしたのかな」と思いながら複雑な気分で出ると、
「なんか郵便局から宅建の通知みたいなものが届いたけれど」
と、寝耳に水の発言を聴かされました。
一瞬にしてそれが何を意味をしているかを理解した時には、朝の通勤ラッシュの人ごみをよそに、猛ダッシュで踵を返しました。
百聞は一見にしかずです。
家に戻ることで遅刻してしまう可能性もありましたが、もはや理性が飛んでいました。
時間にして3分くらいで自宅に着くと、神棚に“電話で知らされた正体”が飾ってありました。
この瞬間、合格を実感したのです。
地方新聞では、朝刊で合格者名が掲載されるらしいですが、都庁の合格者発表掲示は9時からですし、機構の合格発表は9時30分からなので、まさか1時間前の8時30分に郵便局員が自宅に合格通知を届けにくるなんて、想定外な結末でした。
本当にこの年は、没問の登場や揺れ動くボーダーの真相と言い、想定外の連続でした。
3度目の正直になりましたが、私の中では石の上にも3年でした。
こうして長かった宅建受験生活が、幕を閉じました。