やる気満々で一から問題を開始したものの、必ずわからない問題が出てきて、不正解が続出すると、出来ない自分にがっかりしてやる気がダウンしてしまうんです。
みなさんも思わず嘆きたくなるようなこのような体験をされたことがあるのではないでしょうか。
もちろん、私も学習中には何度もそのような心境に陥りました。
学習初期段階だけではなくて、受験直前までつきまといました。
数字や計算式と頻出ワードが何度覚えても頭に入らずに、不正解の連続から投げ出しそうになったことが一度や二度ではありません。
あまりにも不正解が続くと、「このままでは受からないのではないか」という強迫観念に駆られそうになるような体験も訪れました。
でも、こうやって合格した後だからこそ言えますが、最初は「できない自分」が自然であって、すぐに覚えられないのは、頭の良し悪しに要因があるわけではないのです。
ご存知の方も多いと思いますが、かつての私はいわゆる優秀組ではなくて、学生時代は偏差値40代前半の平均以下の成績でした。
そんな平均にも達しておらず、勉強法の基本が分からずに、独学で臨んでいたので、無我夢中に試行錯誤しながら「これだ」というコツも見出すしかなかったわけです。
そんな私にとってはひたすら何度も覚えて繰り返しインプットさせるという王道の方法で知識を定着させてきましたが、その過程は平坦ではなくて、覚えたつもりが忘れるの繰り返しでした。
ゼロからスタートしたばかりなのに、すぐに理解できるわけないですし、覚えたはずでも忘れてしまうのも脳の構造から自然な話なのです(下記参照)。
20分後に42%、
1時間後に56%、
1日後に74%
1週間後に77%
1ヶ月後に79%
※ ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスが記憶がどのくらいのスピードで忘れられていくのかを実験して数値化したエビングハウスの忘却曲線より。
試験そのものが「嫌でも1問以上は解けないと落とします」という前提で合格基準が設けられており、個々人の得意分野、苦手分野を選択式で選べるような形態ではなく、18科目群もの膨大な試験として用意されている以上、思い通りに学習が捗るはずがないのです。
パールマンがどんなアプローチをした、機能派アプローチはどんな援助方法か等を、一度や二度黙読したくらいで完璧に覚えられる方が稀です。
すぐに覚えられなくてあたり前、その場で覚えたつもりでも、すぐ忘れてしまってもそれが人間だものと意識していた方が楽なものです。
社会福祉士試験のカリキュラムの特徴として、今理解できなくても、後になってその意味に気づけるようになる点があります。
今学んでいる科目のキーワードが、別の科目で再び登場するのです。
科目同士でリンクしている問題もあります。
諦めずに淡々と反復学習を重ねていれば、一度や二度目でなかなかインプットできなかったことも、ある時わかるようになるのです。
「あ~あそういうことか~」と、まるでひらめき脳のように点と点がつながる実感ができるでしょう。
そして、一通り全科目を一周した後に、初めて取り掛かった科目を、改めて眺めてみると、理解度がかなり変化しているはずです。
例えば、映画館で観た映画が数ヵ月後にDVD・BDでリリースされた際に、再び自宅で見直してみると、初めて観た時には気づかなかった細部に目が届いたり、映画館ではわからなかったシーンの意味が分かったりするような感覚と同じです。
これが学習の醍醐味です。
一回や二回で、「なんて自分は記憶力が悪いんだろう」と諦めてしまったら、もしかしたら三回目で生まれるかもしれない爽快感を、自ら失ってしまうのです。
受験勉強を続けるという作業は、突き詰めると己の弱さと嫌でも対峙しなければならない修業のような道でもあります。
不快な感情や弱さから目を向けずに、継続することで、今抱えている不安は払拭されていきますよ。