第36回社会福祉士国家試験が終わってから10日が経とうとしていますが、受験されたみなさまはいかがお過ごしでしょうか。
もう試験のことは忘れて、日常生活に戻られている方もおられるでしょう。
年度末なので、何かと忙しい日々を送られていて、試験を振り返っている余裕がないという状況であるかもしれませんね。
他方で、今年の合格点が気になって、合格発表日までの残り20日以上が長くて苦しい心境の方も多いかもしれません。
赤マル福祉の平均点は107.3点、二年前の第34回試験の暫定値に近いものを感じています。
あの回は史上初の100点を超えた回で、試験が終わった後の余波も大きかったものです。
合格発表直後に、一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟と日本社会福祉士会が「試験の在り方を改善すべき」と声明を出されたことで、第35回試験にも影響が生じた経緯がうかがえました。
ちなみに、大荒れになった第30回試験時の99点という合格基準点発表後も、同様の流れがありました。
今回、100点を超えるのかどうか、はたや第34回試験時のように105点以上になるのか不安でいっぱいの方も少なくはないのではないでしょうか。
今年、100点を超えるかどうか、それが分かれば苦労は要らないのですが、私的には可能性は低いのではないかと見立てています。
この可能性というのは、言い換えると、100点以下になる可能性の方が高いということです。
なぜそう言えるのかというと、一つには、「合格基準点が6割」が前提で、難易度補正という点で、第34回試験時同様に7割基準となってしまうと、国家試験のあり方そのものが問われることになるからです。
そうは言っても、赤マル福祉の自己採点診断表を参考にすると、今回、90点台に設定することで、合格率が二年前までの30%に収まる可能性も低くなるように感じます。
現に第34回試験時は105点に対して、合格率は31.3%でした。
ちなみに、合格率が30%台の回は、第30回99点と、不適切問題が続出した第20回87点と、第15回91点と合格点非公開の第8回試験です。
そこで基準になるのは、第35回試験時に新しい歴史が刻まれた合格率40%超についてです。
第 34 回社会福祉士国家試験の合格基準について(一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟会長談話)を参照にすることで、今後の合格点や合格率基準の推測ができるように感じられます。
以下は抜粋です。
○ 合格基準点が極めて高かった国家試験(特に第 30 回と第 34 回)では、この報告書の提言内容を先取りし、いわゆる良問(特定分野に限らず必要不可欠な基本的な知識を問う試験問題)が多く出題され、高得点となったことが考えられる。
○ 近年、養成校学生の就職活動において、社会福祉士や精神保健福祉士資格の取得を前提とする採用内定が多くあり、国家試験不合格により内定が取り消されるケースも生じている。国家試験の合格判定が慣例的かつ機械的な相対評価で不合格者を多く出すことは、学生の不利益を助長することになりかねず、安定的な福祉人材確保にも悪影響を与えている。
○ 社会福祉士国家試験の合格基準を設定するにあたっては、国家試験制度の信頼性を担保する意味においても、検討会が指摘している出題の基本を踏まえつつ、仮にこれまで慣例的に「上位 30%ラインの近似値を合格基準点に設定してきた」とするならば、そのような設定を見直し、過度な補正をすることなく総得点の6割程度以上得点した者を全て合格とするなど、合格基準を見直すべきである。
第 34 回社会福祉士国家試験の合格基準について(会長談話)
令和4(2022)年3月22日
前回第35回試験は、上位30%ラインが見直されて、6割基準を得点した40%以上が合格入りできる新基準となりました。
第35回試験だけが特別なのかどうかが今回の結果で分かりますが、おそらく、前回の水準は今回含めて新カリキュラムの第37回試験以降も踏襲されるのではないかと私は予測しています。
第7回試験以降、黒歴史と呼ばれた第25回試験を除いて合格率が25%〜30%程度の範疇で調整されていたところを、10%以上も上乗せして44%に跳ね上げた背景には、偶然という二文字では片付けられない事情があるように受け取ります。
そのような背景も踏まえて、私は合格点が99点以下になるのではないかと推測しておりますが、3月5日は多くの受験生のみなさまが笑顔に溢れる一日になりますように、今日も願い続けております。