遡ること9年ほど前、私が相談援助活動を展開して間もない頃、20代OLの相談者様が私に残した言葉が、今でも脳裏に焼き付いています。
私の人生なんだったん?
その方の名は仮にAさんとします。
当時Aさんは、仕事も人間関係もうまくいかずに、鬱病を患って大変苦しんでいらっしゃいました。
やり取りを数回重ねたある日、Aさんは長期入院するに至りました。
一ヶ月くらい経過して、Aさんは戻ってきました。
退院後に初めて発した言葉がこの一言でした。
きっと、Aさんは病室からこれまでの人生を振り返っていたのでしょう。
その痛切な問いに対して、当時の私には適切な言葉が浮かびませんでした。
大丈夫ですよ。
私は捻りに捻った結果、そう返していました。
インターネット上における文字媒介のやり取りだったので、自分の無力さを痛いほど感じました。
言葉じゃ何とでも美辞麗句は飾れるけれど、この気持ちは伝わらない。
今すぐにでも傍に駆けつけてただただ耳を傾けたい。
でも、私にはできませんでした。
21歳の自分には、そんななりふり構わないような勇気がなかったからです。
それから間もなくして、Aさんは私のもとから去って行きました。
その後の行方は知るよしもありません。
今でも道に躓いた時に、Aさんのあの言葉が反芻します。
大丈夫という言葉の重みと意味をその都度噛みしめています。
あれから10年近くの月日が流れますが、「私の人生なんだったん?」の答えを模索しながら、今日も相談者様の返事を返しています。
きっとその答えは、私自身の生きる意味にも共通している気がするからです。