私の人生なんだったん?
仮にAさんとします。
当時Aさんは、仕事も人間関係もうまくいかずに、鬱病に苦しんでいらっしゃいました。
あることをきっかけに入院に至りましたが、退院後に初めて発した言葉がこの一言でした。
きっと、病室からこれまでの人生を振り返っていたのでしょう。
その問いに対して、当時の私は適切な言葉が送れませんでした。
インターネット上における文字媒介のやり取りだったので、自分の無力さを痛いほど感じました。
言葉じゃ何とでも美辞麗句は飾れるけれど、この気持ちは伝わらない。
今すぐにでも傍に駆けつけてただただ耳を傾けたい。
でも、私にはできませんでした。
そんななりふり構わないような勇気がなかったからです。
それから間も無くして、Aさんは私のもとから去って行きました。
その後の行方は知るよしもありません。
今でも道に躓いた時に、Aさんのあの言葉が反芻します。
相手に寄り添うという上で、文字媒介の限界を感じた私は、その後オフラインの世界に飛び出し、直接相談者様と対面できるような支援に移行してきました。
自分の人生に失望して、明日を見失い、怯えている人間に対して、自分の力がいかに微力かを今でも感じています。
「私の人生なんだったん?」の答えを模索しながら、今日も相談者様の返事を返しています。
きっと私自身の生きる意味にも共通している気がするからです。