「社会福祉士試験は6割の点数を出せば合格できる」 と唱えてきましたが、過去の試験結果を分析してみて、事実なのかどうかを改めてまとめてみました。
第20回以降の過去10回分結果を見ても、本試験では90点を取れれば合格できる試験レベルになっています。
回 ボーダー (不適切問題の数:処置) 合格率
■旧カリキュラム(13科目)
第20回87点 (不適切問題3問あり=2問全員正解:1問2肢正解)30.6%
第21回85点 29.1%
■新カリキュラム(19科目)
第22回84点 (不適切問題2問あり=2問全員正解)27.5%
第23回81点 28.1%
第24回81点 26.3%
第25回72点 18.8%
第26回84点 27.5%
第27回88点 27%
第28回88点(不適切問題2問あり=2問全員正解) 26.2%
第29回86点 25.8%
私は受験前に、初めて社会福祉士試験のデータを集めた際に、6割以下(90点)の点数でも合格できるのならば、何とかなるのではないかという勇気が湧いたことを覚えています。
国家試験で6割以下の合格点でも受かる試験というのは、当時他には知らなかったため、とてもハードルが低く感じたからです。
ところが、蓋を開けてみれば約35日間の勉強期間では、90点以上の点数を出すことはできませんでしたが、6割以下でも受かるという相対評価は大きな救いになりました。
そして、確変が起きたのは、第25回本試験の結果です。
まさかの5割以下の合格ラインで、なおかつ合格率が20%を切る低水準な結末となりました。
第26回試験以降の傾向を見ても、第30回試験も90点の6割基準近くになる難易度調整をしてくるのではないかと想像しています。
30年目の節目の回なので、合格率を大幅に絞る(第25回のように)という方向性は考えにくいです。
社会福祉士を必要とする職場は年々増加の一途なので、合格者を相当数減らすという理由が見つかりません。
質の高い社会福祉士を求めている点はあるでしょうが、あくまでも試験上では6割基準を前提とした相対評価方式がしばらく続きそうなので、合格点調整は例年と変わらないと予想出来ます。
初めて受験される方にとっては、90点という数字を聴いてどう捉えるかによって、受験勉強のモチベーションにも影響してくると思います。
最初から90点を狙ってみて、その通りの結果を出す人間というのはかなり少ないと思います。
やれるだけのことをやってみて、結果として合格ライン付近の点数を出される方が多いのです。
毎年合格率が26%前後で、合格点が80点台に収まる背景として、受験生全体の質も影響していますが、試験問題そのものが難問とベーシック問題をバランス良く散りばめてあるという事情があります。
また、合格点だけでは読み取れない合格率事情として、0点科目の存在にも留意しなければなりません。
毎年のことですが、総合で90点以上取れているけれども、0点科目があったため、不合格になってしまった方が多数いらっしゃるようです。
このようなケースは、試験の度に見られるようで、私の知り合いにも総合で100点を超えているものの、現代社会と福祉分野で0点になってしまったために、数年間不合格が続いている人がいます。
「自分に限っては0点科目はないよ」
「90点くらい余裕だよ」
楽観視することで勉強が捗れば良いですが、やるべきことをせずに臨むと0点科目の足切りや、奇問難問の連続に心を動揺させられてしまい、本領発揮できずじまいで「こんなはずではなかった」と、悔し涙をのむ結末を迎えてしまう恐れがあります。
昨年度の試験で84〜86点くらいの限りなく合格水準に近いラインまで到達したものの、悔しさを味わった方々は少なくないと思われます。
実際に合格発表日に実施した電話報告で聴かせてくださった方等の中にも「あと数点」という方々がいらっしゃいました。
そのような方々にとってみれば、あと一点あと数点という結末はトラウマのように植え付けられていて、合格が隣り合わせとは思えない分厚すぎる壁を感じてしまっているかもしれません。
ですが客観的に見れば、合格点を目前に位置することが出来たというアドバンテージは残っています。
浮かれることなく、基礎固めと苦手分野を克服できれば来年こそは夢が叶います。
相対評価がある以上、合格基準である6割を必ずしも上回らなくとも合格できる可能性はある。
そのことを想定しつつ、重要項目は取りこぼさず、本試験では確実に答えられるように鍛錬を重ねる。
最後の最後まで地道な努力を継続できれば、合格ラインが多少上下しようとも結果はついてきます。
さぁ、これから来年の勝利をつかみに出かけましょう。