令和初の社会福祉士試験の合格点は一体何点に収まるのか。
多くの受験生が気になるこのテーマについてこれまでの試験データをもとに私見をまとめました。
■ 過去12年分の合格点・合格率まとめ
平成時代に行われた第20回以降の過去12回分結果を見ても、本試験では100点を取れれば合格できる試験レベルになっています。
回 ボーダー (不適切問題の数:処置) 合格率
■旧カリキュラム(13科目)
第20回87点 (不適切問題3問あり=2問全員正解:1問2肢正解)30.6%
第21回85点 29.1%
■新カリキュラム(19科目)
第22回84点 (不適切問題2問あり=2問全員正解)27.5%
第23回81点 28.1%
第24回81点 26.3%
第25回72点 18.8%
第26回84点 27.5%
第27回88点 27%
第28回88点(不適切問題2問あり=2問全員正解) 26.2%
第29回86点 25.8%
第30回99点 30.2%
第31回89点(後日追加加点で+1点)29.9%
私は受験前に、初めて社会福祉士試験のデータを集めた際に、6割以下(90点)の点数でも合格できるのならば、何とかなるのではないかという勇気が湧いたことを覚えています。
国家試験で6割以下の合格点でも受かる試験というのは、当時他には知らなかったため、とてもハードルが低く感じたからです。
ところが、蓋を開けてみれば約35日間の勉強期間では、90点以上の点数を出すことはできませんでしたが、6割以下でも受かるという相対評価は大きな救いになりました。
私が受験した後の第25〜31回までの試験結果の中で、確変が起きたのは、第25回と第30回試験です。
第25回は想定外の5割以下の合格ラインで、なおかつ合格率が20%を切る低水準な結末となりました。
対して第30回試験は史上初の不適切問題0で90点を大幅に上回る激動の回に終わりました。
■ 第32回試験の私的合格点予想について
今から合格点を予想するのはナンセンスと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、第25回から第32回までの7年間の歴史とともにブログを継続してきた私の意見を述べたいと思います。
もちろん、予想はあくまでも一個人の想像なので、参考程度にとどめてください。
私は2つの可能性を考えました。
仮説1
90点前後
条件
1.第31回試験構成と同様になること(捻った問題が少なくて、基礎的な内容中心の出題であること)
2.合格率が28%を上回ること
理由
・新規受験生も昨年度試験の情報を事前に入手していることで(学校やネット等から)、6割ではなくて7割超になることを想定して受験に望むことが想定されるが、新出問題や奇問難問の効果から例年のような90点前後に収まる。
・受験料が1万円を超えたことで、記念受験組が減ることが想定される。
仮説2
85〜90点
条件
1.試験構成が第31回試験のような基礎的な問題を中心にしたものだけではなくて、奇門・難問が散りばめられたような複雑化した出題が増加すること
2.合格率が25%を下回る可能性があること
仮説1と2を上げましたが、私の予想では、100点を上回るような可能性は低いのではないかと見立てています。
その一番の理由は、落とす試験ではない社会福祉士試験が第30回試験で合格基準点の6割(90点)を大幅に超えるような結果を残したことで、かつてないような波紋を広げることとなったからです。
日本ソーシャルワーク教育学校連盟会長談の中で将来的な合格基準点について下記のように言及しています。
合格基準点における合格基準からの補正の範囲は、合格基準を絶対基準として行うことを目指し、合格基準として定められた60%の得点(90点)を上回ることのないようにすべきである。
そのため、基礎的な問題で得点をしやすい問題構成から、応用力を問うような出題にシフトしてくる可能性が高いのではないかというのが私の推測です。
■ 社会福祉士試験の合格率はどうなるのか
結論から申し上げると、合格率を大幅に絞る(第25回のように)という方向性は考えにくいです。世の中全体を見渡しても、社会福祉士を必要とする職場は年々増加の一途なので、合格者を相当数減らすという理由が見つかりません。
この点は第30回試験終了時に日本ソーシャルワーク教育学校連盟会長談でも言及されています。
福祉人材へのニーズは急増し、我が国でも地域共生社会の担い手として社会福祉士への期待が高まり、また様々な福祉以外の領域・職域でも、社会福祉士への求人・ニーズは広がり、高まっている。しかしながら、受験者数は多少の増減をしつつ横ばいであり、現在のソーシャルワークへのニーズに応えるための人員の確保が容易でない状況である。
試験製作者としては、質の高い社会福祉士を求めるために、問題構成に力を入れている点はあるでしょうが、あくまでも試験上では6割基準を前提とした相対評価方式がしばらく続くことが想定されているため、90点に落ち着かせるような出題に仕上げるのではないかというのが私の推測です。
※あくまでも私の予想なので、外れる可能性もあることをご承知おきください。
また、合格点だけでは読み取れない合格率事情として、「0点科目」の存在にも留意しなければなりません。
毎年のことですが、総合で合格点を取れているけれども、0点科目があったため、不合格になってしまった方が多数いらっしゃるようです。
このようなケースは、試験の度に見られるようで、私の知り合いにも総合で100点を超えているものの、現代社会と福祉分野で0点になってしまったために、数年間不合格が続いている人がいます。
「自分に限っては0点科目はないよ」
「100点くらい余裕だよ」
楽観視することで勉強が捗れば良いですが、やるべきことをせずに臨むと0点科目の足切りや、奇問難問の連続に心を動揺させられてしまい、本領発揮できずじまいで「こんなはずではなかった」と、悔し涙をのむ結末を迎えてしまう恐れがあります。
第31回の試験結果を受けて、やりばのない気持ちをしばらく引きずっていた方も少なくはないでしょう。
実際に合格発表日に実施した電話報告で聴かせてくださった方等の中にも「あと数点」という方々がいらっしゃいました。
第30回試験とは異なって手を伸ばせば届きそうな点数なのに、届かなかったという無念さから気持ちが晴れない方もおられるかもしれません。
ですが客観的に見れば、合格点を目前に位置することが出来たというアドバンテージが残っています。
浮かれることなく、基礎固めと苦手分野を克服できれば来年こそは夢が叶います。
相対評価がある以上、合格基準である6割を必ずしも上回らなくとも合格できる可能性はある。
基礎的な問題が減って、応用を問うような出題が増えたら太刀打ちできる自信がないと気後れしてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、この3点をもう一度伝えさせていただきます。
・それでも基礎問題をインプットしていれば、合格点は取れるように作られている(過去の出題構成から)
・落とす試験ではないので、合格率を20%以下にする可能性は限りなく低い
・たとえ100点になっても50点(50問)も不正解になっても合格できる
重要項目は取りこぼさず、本試験では確実に答えられるように鍛錬を重ねる。
最後の最後まで地道な努力を継続できれば、合格ラインが多少上下しようとも結果はついてきます。
さぁ、過去から未来へ、令和初の絶対合格をつかみに出かけましょう!