これまでに、社会福祉士国家試験の問題形式は、毎年必ず問題集に載っていない新出問題が複数出題されることに触れてきました。
それらの問題に対しては、「常識力」+「勘(運)」が1点を左右します。
日常生活の中で、社会福祉問題にアンテナを張っているかによって、本試験でも通用する力を養うことができるのです。
私が受けた第24回本試験を分析すると、常識力で解けるような問題が次のように何問か出題しています。
例えば、
・共通科目(午前)「人体の構造と機能及び疾病」の問3。
身体活動量は、活動の強度を意味するメッツ(Mets)を用いて、「メッツ×時」で表す。(正解)
この選択肢は、日ごろジムに通っていたり、健康に関するニュースを意識している方にとってはサービス問題だったと思います。
携帯電話の健康管理アプリの中でも使われているワードなので、日常生活に直結している様子が分かります。
・問5の集団食中毒の原因菌を答える問題。
よく「○○ホテルで食中毒が発生した」というニュースが取り沙汰されますが、普段からそれらの情報をチェックしている方には簡単に解けた問いでしょう。
・「社会保障」の問54、平成22年度における子ども手当に関する出題。
これは、民主党政権時に耳がタコになるほどニュースで取り上げられていた問題の一つだったので、常識的に答えられた方も多いと思います。
・「保健医療サービス」の問68、インフォームドコンセントについて答える記述。
これも、近年使われやすい重要キーワードですが、普段医療機関にお世話になっている方や、健康のために医療の書籍を読んでいらっしゃる方は、言葉の意味や目的を理解していると思います。
・専門科目(午後)「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」問133の肢3。
療養手帳を所持している第二種知的障害者が航空旅客運賃の割引制度を利用する時、知的障害者割引運賃は普通大人片道運賃50%割引相当額である。(不正解)
第20回問題92に類似問題が出題されたのですが、この時の選択肢には「JR旅客運賃割引制度」が登場しました。
ちなみに、療養手帳の第二種は、本人の割引率50%なので、当時の問題をうろ覚えにしていた方は、誤認して今回の肢3の選択肢を選んでしまったかもしれません。
しかしながら、この肢をよく見てみると、「航空旅客運賃の割引制度」とあります。ここがポイントです。
実際に調べてみたところ、ANA、JAL等、航空会社によって、割引率やサービスは異なるのです。
第20回の類似問題を知らなかった方は、この選択肢を見て、「航空旅客運賃が50%にもなるのか?」と常識的センスから間違いだと判断されていればよいのですが、なまじ療養手帳=50%と暗記しているとひっかかってしまうのです。
恐らく今年度の第31回試験も受験生を惑わすために、こういう細かい数字と身近なサービスを絡めた問題が出題されると思います。
レストランや病院、電車や飛行機等の利用案内や諸注意等に留意するようになれば、社会福祉士国家試験でもセンスを発揮できるだけでなく、身近なサービスを賢く利用できるようになると思います。
社会福祉士国家試験はこうして一つ一つの問題に目を向けてみると、日常生活に関連している常識的な出題も見られるので、アンテナを張っておくといざという場面で得をするかもしれません。
福祉分野に特化した最新ニュースを日々更新中の福祉新聞も強力な味方です。