あなたは、普段の仕事で「疲れ果てた」と感じることがありますか?
もしかすると、それは「感情労働」のせいかもしれません。
感情労働について書籍をまとめあげたのは、東京成徳大学応用心理学部准教授で、社会福祉士、精神保健福祉士でもある関谷大輝さんです。
「感情労働」とは比較的最近日本の労働社会で広がった言葉で、米国の社会学者、アーリー・ホックシールドが提唱した考え方です。
簡単に定義すると、「仕事中に自分自身の感情の表し方や感じ方をコントロールしなければいけないような仕事」を指します。
福祉職のような対人援助職では自分の素の感情を抑えたり、役割を演じなければならない場面が多々あることで、感情労働が強い職種とも言われています。
関谷さんは、横浜市役所(社会福祉職)に入庁し、福祉事務所および児童相談所でケースワーカーとして勤務された経験から、感情労働に置かれた職員の葛藤やバーンアウトの様子を目の当たりにされてきました。
拙ブログでも、今年の5月に、念願の社会福祉士になったものの辞めたくて仕方がない方や、転職を考えている方に向けての記事を発信しましたが、感情労働がもたらす精神と肉体への影響は大きいですし、蓄積されていきます。
私も社会福祉士として6年超の職務経験がありますが、毎日のように「辞めたい」「自分には向いていない」「自分は対人関係が得意ではない」と痛感しながら職場では役割を演じて日々過ごしていたことがありました(厳密に言うと現在でもそう弱気になる時はあります)。
ゴールが見えない中、暗中模索しているしんどさ、対人援助職のように成果が見えにくく、頑張った人間が報われるという形になりにくい世界では、いかにストレスを溜め込めないかや自分一人で抱え込まないことが肝心だと痛感しています。
本書では、感情労働に潰されないための対策や考え方について描かれておりますので、万人に役立てるような内容になっていると感じました。
感情労働のメカニズムや自分自身で実践するセルフケアについて具体的な方法が指南されています。