不動産業界に無縁だった私は、重説書の記入や、登記事項証明書の正しい読み取り等は、講習で初めて行う作業でした。
テンプレートが載っているテキストや資料を見ると、さぞ難しそうな抵抗感を覚えましたが、私だけではなかったようです。
講師の不動産会社社長の事務所に入社した社員の方で、宅建、行政書士両資格取得者がいるらしいのですが、重説書の実物を見るなり、「自分にはこんな細かい作業はできそうにない。主任者の仕事は向いていないのかもしれない」と、気後れしていたようです。
でも、大丈夫です。
少なくとも講習で行う重説書の記入は、見本を見ながら行えば作れるようになっていますし、講師が教室を回るので、どうしてもわからなかったり、不安であれば、その場でマンツーマンで教えてもらえました。
そして、2日目最後の修了テストは、素人でも、物分かりが悪くて、こなせるようになっています。
ちなみに、日本ビジネス法研究所の修了率は99%でした。
宅建本試験と違って、修了試験は、落とすための試験ではないので、持ち込みなんでもOKに加えて、テスト直前に、講師がテキストに載っている重要キーワードをおさらいしてくれるので、事前に赤ペンや蛍光ペンでチェックしておけば、大半が確認テストに出るようになっていました。
席が隣の受講生の方は、「満点でなくてもいいから。修了さえできればいい」とおっしゃっていました。
私も、正直同感でした。
テストが終わった後に、講師が全員のテストをざっと見渡して、こうおっしゃっていました。
「ざっと見た感じでは、提出されたみなさんは全員合格できそうですね。満点も数人いました」
最後に、講師への質問として、記憶に残った質疑応答がありました。
「宅建に合格できたのは嬉しいですけど、周りからは、あんなブラック企業によく転職する気になるねと、憐みの目で見られました。不動産業界ってやっぱりブラックなんですよね!?」
推定40代後半の男性が、語気を強めて発問されていましたが、会場は一斉に失笑していました。
私も同じことを思っていたので、回答が気になりました。
この道数十年の不動産会社社長の講師は、苦笑いを浮かべながら、言葉を吟味していて、
「確かにそういう声も多いですし、中にはそのような会社もあるようです。ですが、私は不動産業界はとてもやりがいがあると自負していますし、世の中全部が劣悪な環境ではありません」
というような、ある意味想像していた通りの返答をされていました。
こうして、長いようで短かった2日目が終わり、修了証は後日郵送で送られてきました。
週明けの数日後には送られてきました。
その後書類を揃えて、都庁に向かいました。
混雑時間を回避するために、平日の午前、しかも朝一に来室したら、ほとんど人はいませんでした。
私は不動産業界に転職予定ではありませんでしたが、宅建試験の集大成として、主任者証も発行しました。
1年後になると、法定講習受講後なので、やるなら流れにのった今しかないという思いもありました。
発行料は、東京都の場合は4500円で、即日交付です(1時間くらい待ちました)。
主任者証を受け取って、ようやく宅建試験に本当の意味でのピリオドを打てたと実感しました。
ちなみに、この主任者証がこの後ピンチの時に自分を救うことになりました。
別の講座ですが、教育給付金の還付を申請するために、ハローワークの窓口に足を運んだところ、住所がわかる身分証明証を求められました。
あいにく持ち合わせていなかったため、狼狽しましたが、とっさに宅建主任者証に在住の住所が記載されていることを思い出しました。
一縷の望みをかけて提示したところ、「少々お待ちください」と、係員がその場を離れました。
上司に確認を取りに行ったのでしょうか。
ドキドキして待つと、「OK」サインが出されました。
他にも、銀行の新規口座作成時の本人確認証としても使える場合や、ゆうちょ銀行の本人限定受取物の本人確認証等でも使えるようです。
ためしに、身分証が必要なあらゆる場面で、運転免許と宅建免許を両方提示して、反応をうかがいましたが、ハローワーク以外は全部「運転免許一枚で構いません」と、突き返されました(笑)
講習で使ったテキストは、たとえ不動産業界に携わらなくとも、将来マイホーム購入や賃貸をする際に、とてもためになる知識が網羅されています。
テキストの内容は、いわゆる宅建試験合格のための受験用知識とは異なっていて、実践的なコンテンツになっています。
いざという時に使えるように、本棚に並べてあります。
この体験記が、これから登録講習に参加するみな様の参考になれば幸いです。