私の転機とも言える宅建試験を受けた動機は至ってシンプルなものでした。
宅建の受験失敗談は年間通して何度も開示していますが、それだけ濃い出来事になっているからです。
漢検準1級に合格した後に、次なるステップアップ資格としてターゲットをロックオンしたのが宅建です。
実家が賃貸に携わっていたのもあって、宅建を持っておけば将来の足しになりそうだし、難易度も法律の入門資格として位置付られていて、「独学でも半年あれば合格できる」という事前情報を耳にしていたことが原点となりました。
合格率も毎回17%前後で、当時10%の漢検準1級に合格した自分から見れば、分厚い壁は感じませんでした。
いつものように、「過去問暗記式で全分野回せば受かるだろう」という経験則から、宅建の基本書と過去問を購入しました。
ところが、いざ宅建のカリキュラムを眺めると、あまりにもの範囲の広さと吸収率の悪さに唖然としました。
民法、税法、宅建業法、建築基準法など、新しく覚える項目ばかりで、宅建ワールドの洗礼に心が折れそうになりました。
そんな気後れしている私には漢検準1級に受かったという意地があったため、受からないわけがないと自己暗示をかけて奮い立たせました。
初めて漢検準1級の過去問を開いた時も、常用外漢字や表外漢字のオンパレードで、とてもじゃないけれども合格ラインである8割など取れるはずがないという戦慄を覚えたものの、紆余曲折あって成し遂げることができたわけです。
その経験が最後まで独学で臨んだ私を鼓舞してくれました。
これは基本書や過去問を開く以前の問題として、宅建全体のイメージを把握してからでないと、とてもじゃないけれどスタートを切れそうになかったため、基礎の基礎として、マンガで覚える宅建を購入しました。
結局試験日までの私のやり方は、6割がマンガを眺めて、残りの4割で過去問をやっとの思いで一通りこなした程度の勉強量でした。
過去問の解き方も、一度やってみたら振り返る余裕などなくて、反復学習したのは、得点源である宅建業法分野だけでした。
私の中では、理解うんぬんより、「とにかく全分野を回し終われば、後は記憶力がなんとかしてくれるだろう」というお粗末な考えでした。
そんな付け焼き刃な状態で本番を迎えましたが、試験問題を目にするまで、ギリギリ合格できるだろうという浅はかな自信が残っていました。
ちなみに私の周りに宅建受験を受ける同志はいませんでしたし、誰にも相談せずに孤独な受験生活を過ごしていました。