時間は流れ、大学2年の夏休みに入る直前に、リクルートに就職したOBによる在校生向け就活フォーラムが開かれました。
この講演会がそれまでの私を変えるターニングポイントとなりました。
大企業のリクルートに就職できた経歴は異色であって、凡人には参考にならないからと冷めた目で参加しましたが、そのOBが話してくださったセリフが反響したのです。
大学生活には二通りあります。
一つは、何も残さないまま卒業してしまう人間。
大半の学生はこの部類に当て嵌まります。
二つ目は、大学時代に何かを残せた人間です。
この「何か」を見つけて努力できた人は、就職した後も強い。
忍耐強く、自分に自信を持っているから、ちょっとやそっとの苦難ではめげないからです。
みなさんは、これからの大学生活2年間の中で、これだけは頑張ったと言える何かを残してください。
たった数行の言葉ですが、漠然と過ごしていた私にとって電撃的なメッセージでした。
隣にいた同級生は感銘を受けていたような感想は一切述べていませんでした。
ありきたりなメッセージという印象が残ったようです。
ところが、私にとって、このOBがかけてくれた言葉ほど強く心に響くものはありませんでした。
このまま行けば間違えなく自分は前者のパターンになってしまう。
こんな自分でも腐らずに何かに挑戦したい。
たった一度の出逢いや言葉で人生が大きく変動することがあります。
小説やドラマの絵空事だと思っていましたが、他でもない私自身の心に熱い気持ちがこみ上げてきました。
誰かにずっとかけて欲しかった言葉だったのでしょう。
この瞬間から、胸の奥に錆びついていた秒針を動かし始めました。
それから2週間後には、初のアルバイトを開始して、社会と接点をつなぐことで自堕落な生活リズムを変えて行きました。
それまでは、ゲーム三昧で昼夜逆転するような長期休みを繰り返していたのです。
未知なる世界に足を踏み込むことには不安や恐怖が先立つもので、行動を抑制したくなりますが、一歩踏み出したことで、失われていた自尊心を取り戻しつつありました。
もっと自分を試したいという胸の奥に閉まっていた感情がどんどん芽を出すようになりました。
大学3年になると、資格道のスタートラインである漢検2級受検を決意しました。
◆ 資格の登竜門として漢検2級を選んだ理由は
なぜ漢検2級を目指したかについてですが、一つは自分が文学部に在学しているという関連性から、一般教養を深めるためという理由でした。
就職を意識した時に、履歴書に漢検2級と書くことで付加価値が高まるのではないかというねらいもありました。
しかしながら一番の理由は、中学時代に3級を受けて不合格になったあの苦い過去を払拭したいという気持ちが強かったのです。
漢字博士と言う小学時代の栄光にすがったまま受検したものの、同級生の中で自分だけが不合格になってしまったあの出来事です。
「見返したい」と言う表現よりも、「自分はこんなものではない」という不完全燃焼感を2級合格で晴らしたい気持ちでいっぱいでした。
高校時代のような一ヶ月未満の短期勝負ではなくて、人生初めての継続的な試験勉強に着手しました。
生まれて初めて一ヶ月以上毎日欠かさず取り組みながら挑んだ漢検2級の結果は、合格でした。
合格証書を目視した時、「本当に受かったんだなー」という実感が湧きました。
当時は漢検協会の雑誌に合格者の名前が掲載されていたため、自分の名前を確認できた時には、感動しました。
やればできるんだ。
漢検に合格した自分は、初めて実力が形となった喜びを覚えました。
そして次は漢検準1級挑戦へと繋がって行きます。
私にとっては、漢検2級合格がその後の資格を目指す上での原点でした。
私は大学入学後、自分の力不足から恥をかいたり、無力感を多々味わってきたことから、自分を変えるために資格挑戦を目指しました。
「資格を取ってなんの価値があるのか」
「就職に役に立たないのなら受けても意味がない」
「漢検2級なんて高卒レベルだし、社会的に見ても価値はない」
なんて外野の声も多いですが、私は漢検2級に合格できたおかげで、少しだけ自信がつきました。
合格をすることで、それまで考えもしなかったようなチャレンジ精神が芽生えたり、新しい自分に巡り合えます。
例えば、私の場合、漢検2級の勉強をしている最中は、漢検準1級を目指そうという着想は全くありませんでした。
まず、漢検準1級に挑戦している自分が想像できませんでしたし、ありえないからと先入観を持っていたために、志す気持ちが皆無でした。
もし、「漢検2級なんて何の役にも立たないし、時間と金の無駄」と切り捨てていたら、この資格道は存在していなかったでしょうし、今日のブログも誕生していなかったでしょう。
全ての経験は無駄ではなく、点と点が繋がっていると実感した瞬間です。
その後20以上の資格試験を受けていると、ある一つの法則に気がつくことになります。
「資格試験は出るところから出るように作られている」
中学時代に通っていた学習塾の講師から教わった勉強のコツのように、あらゆる資格試験に共通している原理原則であることを身をもって知ることになりました。
全てに共通している勉強ツールとして「過去問」が取り上げられます。
漢検も、英検も、秘書検も、宅建も、福祉住環境コーディネーターも、メンタルヘルス・マネジメント検定も、社会福祉士も、精神保健福祉士も、FP技能士も、公認心理師試験も、全て過去問一冊を応用することで合格を見出だせることに成功しました。
過去問は通用しなくなった。過去問は役に立たないという声は毎年のように聴かれますが、いつの時代になっても過去問の有用性は変わらないというのが私の見解です。
実体験に基づく過去問の活用法は今後ブログで紹介していきたいと思います。
小さな成功体験が夢の一歩につながります。
私は学生時代苦労することから目をそむけてきた分、内発的に努力をしたい、しなければならないと意思を固められたのが20代になってからでした。
みなさんそれぞれのペースがあり、いくつになっても挑戦できるのが資格道のメリットでもあります。
社会福祉士合格後に、ケアマネジャー、精神保健福祉士を目指される方も少なくはありません。
また、介護福祉士試験を経てから社会福祉士試験合格へとステップアップされる方もおられます。
一口に受験と言っても、色んなルートがあるのが資格道の醍醐味です。
私はこのブログで巡り合った社会福祉士試験合格者の方と電話で話している中で、公認心理師試験受験資格が該当することを知り、その後申請が通って実務経験最終試験で合格を果たすことが適いました。
もしもあの方とあの瞬間あの話題を話していなかったら、公認心理師試験の受験資格を得られていることすら知ることもなく、今の自分は存在しなかったと確信しています。
私はお世話になったみなさまに自身の経験を還元させていただくことを止めませんし、これからも挑戦を重ねてまいります。
新しい一歩を踏み出されるみなさんと伴走させていただきます。