転職活動してみたけど何がやりたいかピンとこない
目の前の仕事に気力も体力も時間もすいとられて、新しいことを考える余裕なんてない
周りの友達は転職してキャリアアップしたり安定した大きな会社で充実してそうに見える
今の会社で働き続けて年を取っていくイメージが浮かばない
まぁ今だってすごく不満なわけじゃないけど・・・・・・でも「なんか違う」気はしてる
働いている中で感じる違和感・モヤモヤに対して
・今の会社で働き続ける
・転職する
できるのはこの二択だと思っていませんか?
「キャリアブレイク」という第三の選択肢があります。
本書冒頭より
本書のフレーズに使われている「キャリアブレイク」とは、一時的に雇用から離れる離職、休職など、キャリアの中にあるブレイク期間であることを指します。
新しい造語ではなくて、ベルギー等の欧州やアメリカでは一般的な言葉としても普及しているようです。
筆者はこのキャリアブレイクについて研究を重ねられている第一人者でもあり、実際にキャリアブレイクした500人以上に会って話を聴き、可能性を感じてきたことで、その活動の成果を本書でまとめておられます。
本書のために、40人以上に取材を行い、キャリアブレイクを選んだ人たちの経験や、その後どのような人生を歩んで行ったのか、またはキャリアブレイクに対して社会や企業がどう見ているのかなどについて、インタビューや経験則が複数載っています。
心身を崩して休職をよぎなくされた方や、退職せざるを得なかった方が、ブレイクタイムに己を見つめ直した結果、
「自分が本当になりたかったもの」
「昔から興味があって思い切ってやってみたこと」
「他者から勧められたことに従ってみたこと」
等によって、新しいキャリアを築いていく過程が描かれています。
気になるキャリアブレイク期間の費用やお金の使い方等についても経験者のデータが掲載されておりますので、目安になります。
日本社会では、キャリアブレイクという生き方を選ぶことで、「社会的弱者」「逃げの姿勢」という偏った見方をされるかもしれないと思われるかも知れません。
しかしながら、前述したように諸外国では既にキャリア形成の選択肢として制度が推進されていたり、本書で登場した先人が実践していますので、視野が広まることだと期待されます。
「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」
キャリアコンサルタント試験でも頻出するクランボルツ博士の「プランド・ハップンスタンス」理論についても言及されており、まさに本書の登場人物たちがキャリアブレイクを経たことで、予想しない偶然的な出逢いによってキャリアが形成されて行くことを知れます。
2024年6月8日追記
40代の方がキャリアチャンジのために、社会福祉士国家試験の受験資格を得るための専門学校に通い、2回目の社会福祉士試験に合格後福祉専門職として転職された方もおられます。
キャリアチェンジのために、約1年間の離職期間を設けた人もいる。大阪市で飲食店店長をしていた中尾一也さん(45)は、就業環境や仕事への適性について悩んでいた20年、コロナ禍に見舞われた。店は休業となり、「今が自分の働き方や家族の暮らしを変える機会なのではと感じた」と話す。妻の後押しもあって、関心のあった社会福祉士を目指そうと決心。妻の両親が住む神戸市に家族で移り、21年3月に退職した。
昼間は子どもの弁当作りや送り迎えをし、夜は専門学校で勉強する日々。保育士の妻が家計を支えた。「経済面の不安はあったが失業給付と妻の収入、前の家の売却益などもあり、乗り切れた」と振り返る。離職中は、PTA役員やボランティア活動に挑戦したほか、家族で過ごす時間も増え、幸せを感じたそうだ。
マイナス思考だった自分を見つめ直す1年でもあった。「うまくいったことも失敗もあったけれど、仕事以外の時間に経験したことが今の自分の糧になったと感じる。人と自分を比べなくなり、幸せの尺度は人によって違うと思えるようになった」と自身の変化を受け止めている。
2度目の試験で社会福祉士に合格し、現在は障害者相談支援センターで働いている中尾さん。「すべての人にキャリアブレイクを勧めるわけではない」と前置きした上で、「もし職場で自分が認められていないと感じているなら、いったん離れるという選択肢もある。人生の中で休んで考える時間があってもいいのではないか」と語った。
がむしゃらに仕事に向き合っていて、心休まる時間を作りにくい中、「このままの人生で良いのだろうか」という漠然とした不安が日々高まっていた時に、キャリアブレイクという選択について本書から追体験してみてはいかがでしょうか。
自分だけが悩んでいるんじゃないんだ。
こういう生き方の選択肢があるんだ。
と、目からウロコの発見から、新しい築きを得られるかもしれません。