社会福祉士試験はつかみどころがなくて、運に左右される試験だと言われているのは、今に始まった話ではありません。
合格を果たされた方の声を聴いても、達成感どころか不完全燃焼のまま気が付いたら合格していたと振り返っている方も少なくはありません。
その理由は、この試験の本質に一因があるように思えます。
5択の150問というおびただしい量の問題数に加えて、勉強した問題集から出題されないような福祉クイズのようなものも毎年出されます。
とにかく試験時間は解くのに集中しなければならず、活字の量の多さだけでも疲れるのに、悩んでいる猶予が与えられないほどの試験内容なのです。
また合格点がその年によって大きく変化する相対評価のシステムも、不安が増幅する要因になっています。
近年の試験傾向としては、実務を想定したような現場実践型の出題が増えていますが、がむしゃらになって試験科目を勉強したところでも、実務に全て結びつくかどうかと言うとそうではないのが特徴でもあります。
これは国家試験の行政書士試験でも同じことが言えますが、試験内容と実務がかけ離れているという点から、やる気を削がれている受験生も毎年のようにいらっしゃいます。
ですが、そういう仕組み上の問題を抜きにしても、合格後に社会福祉士になった暁には、時には試験勉強以上の苦労が待っているものです。
辛いこと苦しいこと、我慢しなければならないこと、自分の力だけではどうにもならないこと、試験問題のように用意された正解が存在せずに自分で考えて取捨選択しなければならない場面が多々訪れます。
そんな時に、この受験勉強で培った忍耐力というのが多かれ少なかれ影響してくるものです。
私自身、社会福祉士としての実務経験は5年ほどで、わずかですが精神保健福祉士としての経験もありますが、どんなに苦しくても諦めずに両資格に合格できたからこそ今があると振り返ることができると、数多の困難や壁を乗り越えられることも多々あります。
社会福祉士や精神福祉士の社会的や使命や需要が高まって来ているからこそ、簡単に誰でも受かるような資格ではあってはならないと感じることもあります。
社会福祉士も精神保健福祉士も名称独占資格ですが、体感的にはその認知度と評価は年々高まっているように感じています。
職務上利用者の方に資格名を名乗っただけで、信頼して相談してくださった場面も多々ありますし、有資格者でないと職に就けないという条件も増えています。
このブログとは別に活動しているカウンセリング・執筆活動の中でも、社会福祉士取得のおかげで仕事を与えてもらえたり、資格取得を目指して通信制の学校に通うようになられた方もいらっしゃいます。
また、受験時代に勉強した専門科目の知識が実務の中で再登場することもありますし、引き出しとして備えておくことで利用者や職員との会話で役に立ったことが多々ありました。
話は戻りますと、確かにこの試験はつかみどころがなくて、努力した実力がそのまま発揮できるのかと言えばそうではないこともあります。
ですが、何年も重ねて唱えていますが、たとえ内容は理不尽でも、やることをしっかりと継続していれば合格できる試験構成になっています。
ぜひ合格を果たして、みなさんのその先の世界の話をうかがわせてください。
来年の3月以降に、「この資格をこのように活用している」という体験談を楽しみにしています。