今回は、7年かけて40歳で医学部に入学し、54歳で医師になられた前島貴子さん(56歳)の紹介をさせていただこうと思います。
39才で医学部に合格。53才で医師免許を取得し、現在、産婦人科の医局で働く専攻医の前島さんは、「医師になるまでの私は、決して成績優秀ではありませんでした」と語る。
(中略)
臨床心理士を目指して勉強を始めたが、その直後に父親が自ら命を絶ってしまう。
「父を救えなかったことが悔しくて、自ら死を選ぶような人をなくしたい、患者を心身ともに支えたいという思いから、医学部受験を決意しました。ただ、医学部受験に必要な理数系の知識は中学生以下。まず、中学校で習う分数の計算問題からやり直しました」
心機一転、実家の近くの学習塾に通い始める。
「そこは大人も対象にしており、塾長さんが作った数学のプリントを徹底的に解くことを繰り返し、なんとか1年で中学の基礎はマスターしました。中学の基礎からやり直したことで、応用が利くようになりましたね」
(中略)
その後、39才で長男を出産。同年、ついに医学部に合格。
「でも、大学で進級することは想像以上に厳しく、何度か留年してしまいました。特に3番目の子(次男)を産んだ後は試験に失敗し続け、2年留年。結局、卒業するのに9年かかりました」
在学中は、公園に子供を連れて行くときも家事をするときも、テキストは肌身離さず持ち歩き、目を通していた。
「問題を暗記するまで繰り返し解きました。一冊丸ごと頭に入れることで“どんな問題が出ても大丈夫”という自信にもなりました」
32歳の時、飲食店を経営し、借金を抱えていたお父様が自死されたことで、救えなかったことが悔しくて、以前から夢だった医師への思いが一層強まり、医学部受験を決意されたそうです。
中学高校から勉強は大の苦手であったようですが、王道の徹底暗記を繰り返すことで初志貫徹されたようです。
前島さんの半生から学びやセカンドキャリアについて考えさせられるきっかけを与えてもらえます。