世の中には、一週間や一ヶ月といった短期間で受かる受験生も少数派ながら確かに存在します。
書店を見回しても、「30日で受かる○○試験」といったテキストや問題集が目に入るほど、短期間合格は食いつきがよいのです。
ただし、表面的な数字だけで試験全体を判断しようとすると、思わぬ落とし穴が用意されているものです。
これまでも例に挙げてきましたが、ここで社会福祉士と難易度を比較されることが多い、同じ国家試験の宅建試験を例に取り上げます。
短期合格者で知られる2名の方のエピソードを紹介します。
一人目は、2012年1月に放送された、NHKの「資格はばたく」で、わずか三日間の駆け込み勉強期間で受かった受験生の体験談です。
この方は、アパマンショップ三軒茶屋の店長でした。
多忙な業務の中、直前まで勉強ができずに、本番直前の3日間は、ほぼ睡眠をとらずに臨んだとのことです。
テキストを見る時間などなかったので、過去問を3周回した過去問オンリー勉強で挑んだそうです。
その結果、ギリギリ合格を果たします。
二人目は、LEC行政書士講座の講師として有名な横溝慎一郎氏です。
2008年に一週間の勉強で宅建に合格しています。
この二人の受験体験談を聞いて、今までに宅建試験を受けたことがない方は、
「宅建って簡単に受かりそうだな」という印象を受けたでしょうか。
確かに、3日間、1週間という表面的な数字だけを聞けば、あたかも容易く合格できる試験のように感じるでしょう。
しかし、ポイントとなる前提条件を忘れてはならないのです。
一人目のアパマンの店長は、業務に精通しているため、宅建業の知識があるわけです。
また、宅建試験特有の「5点免除システム」を使って受験したかもしれない可能性も考えられます。
事前に講習を受けることで得られる5点免除制度を使っていれば、合格ラインの7割からハードルが落ちて、残り科目で6割程度全体で取れれば合格できるのです。
二人目の横溝氏は、2000年に一ヶ月ほどの短期間で行政書士試験に合格している上に、行政書士講座を担当していたので、民法も熟知していますし、受験のテクニックも精通しています。
このように、合格者の背景を想像・理解した上で、試験の難易度を考察することが大切です。
一方、社会福祉士試験の場合は、「無勉でも受かる」といった類の体験談のソースは、顔の見えないネット上であることがポイントです。
匿名性の書き込みからは、信憑性が非常に低いのです。
ですから、鵜呑みにして、本番直前まで手をつけない勉強観は危険すぎます。
拙ブログカテゴリーにある受験生の合格体験談や関連記事のコメント欄を見ても、実際に合格を成し遂げた受験生の生声はリアリティがあります。
同じネットの意見でも、ぜひ先人の背中を参考にしていただければこのブログが存在している意義があります。