もう既に勉強に取り組んでいる人、まだ勉強を開始してないけれど、そろそろスタートしようと心掛けている人、様々でしょう。
いずれにせよ、まだ四ヶ月以上本試験までありますから、合格レベルに達するまでに十分に時間は用意されています。
ただし、この時期から気を付けなければならないのは、自分を甘やかすこと、誤った見立てを持つことです。
みなさんは知的好奇心が高い方々でしょうから、そんなことはないでしょうが、中には本番までほとんど勉強しないまま、試験に挑む人が少なくないのです。
「まだ試験まで十分時間があるし、やる気が起きたらやればいいや」と、高をくくって中途半端な学習量で臨むことで、散ってしまうのです。
なぜ時間がたっぷりあるのが分かっているのに、やらないのかと言ったら、「やる気が起きない、忙しい」と、精神的な問題が影響しているようですが、試験そのものを甘く見ている人もいるのです。
ネット上で、
社会福祉士は無勉で受かる。
一ヶ月あれば余裕で受かる。
福祉系最難関国家資格って言っても、30%弱も合格しているんだから、そんなに本気にならなくても受かるんだよ。
なんて書き込みを毎年のように目にしますが、勉強にやる気が起きない時にそのようなフレーズを多々見れば、自分が勉強を辞める良い口実に使ってしまう危険が生じます。
はっきり言っておきますと、社会福祉士試験は簡単ではありません。
拙ブログの歴史を見ても、受験経験者や合格者のほとんどが楽勝という感想を残されてはいません。
例えば私が取得している精神保健福祉士(専門科目のみ受験)やメンタルヘルスマネジメント検定II種、III種、福祉住環境コーディネーター試験2級と試験・合格難易度を取得しても相当な差を感じました。
共通と専門の150問合格(各科目1点以上)という設定は簡単と一口では片付けられません。
本当に誰もが簡単だと思える試験難易度ならば、合格率を見れば一目瞭然でしょう。
毎年7割以上の方が哀しい思いをしている現実や、学校別合格率を見ても複数の高偏差値の難関大学ですら合格率が芳しくないという事実が際立つ点からも物語っています。
第29回社会福祉士試験大学別合格率上位50位までの大学の中で、いわゆる難関大学だと評されている一部の私立大学の合格率(総数)を挙げると、以下のようになっています。
早稲田大学 40%
立教大学 38%
上智大学 27.8%
同志社大学 32.4%
これらの四大学の合格率は軒並み前年度と比較して低下しています。
大学名だけで受験にメリットがあるとは言えない時代になっています。
唯一例外を言うならば、公認会計士や司法書士等の難関資格試験と社会福祉士試験を比較するならば、社会福祉士試験の方が断然合格は容易いでしょう。
ただ、そのような前提を持つ方は受験生の中では極めて少数ですし、「簡単だ」と揶揄している人間が経験者であると言える根拠はありません。
このように、一口に簡単と言っても何を根拠に言っているのかが不明である以上、真に受けるのは危険です。
私の友人が第24回試験に2度目の再受験しましたが、あと4点で落ちました。
本試験までやる気が起きずに、ほとんど手をつけないまま本番を迎えたとのことです。
彼は本試験の出来具合から不合格を確信していたようで、さほど落ち込んでいる様子がありませんでした。
しかしいざ自己採点が終わって惜しい結果だったからだか、次のようなことを言い残しました。
社会福祉士って仕事に絶対条件じゃないからさ、今一本気になれなかったんだよね。それでこの点数だから、本腰入れれば受かってたかも。
去年受けた介護福祉士は業務に直結してただけに勉強したから、7割得点できて受かったんだけどね。
次に、初めて受けた会社の同僚は、試験が終わった後の感想として、以下のようなことを放ちました。
受かるわけないじゃないですか(満面の笑み)
だって全く勉強しないで受けたんですよ。
今回は様子見が目的だったんですから。
あまりにも清々しくて、自信に満ちた言い方だったので、拍子抜けしたくらいのインパクトがありました。
冷静に見ると二人の発言からわかるのは、「本試験は勉強をしっかりしないと受からない」という試験の真髄です。
ご存知の通り、第25回試験からは試験傾向が例年以上に複雑化して、合格率が19%を切る波乱の結果となりました。
第24回試験から合格率は下降して、出題形式が変化している点からも、もはや「社会福祉士は楽勝で受かる」という誤った見立てを持てるような時代は過ぎ去りました。
一部の偏った(誤った)情報に翻弄されずに、「問題集を一冊こなす」という具体的な目標をこなすことで合格を具現化させます。