社会福祉士国家試験「今年こそは絶対合格計画」

社会福祉士・精神保健福祉士国家試験に40日以内で一発合格した管理人の学習法をベースに、不安を不っ飛ばして“安心”に変えられるブログを目指しています。

本番で判断に迷ったら、情ではなくて法令や制度に着目して選択してください。

今回は、第30回社会福祉士本試験テクニック関連で、要注意なポイントについて扱いました。

 


第23回社会福祉士国家試験午前共通科目「権利擁護と成年後見制度」問70からの出題です。

 

 

 

消費者契約法による「消費者契約」の消費者からの取り消しに関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

という、問題に対する肢の中で、5の選択肢を見ると、

5.事業者が、消費者の恋心を利用して、「売り上げるために協力して欲しい」と言って商品を購入させた場合、購入した消費者は、消費者契約を取り消すことはできない。

となっています。

ぱっと見ると、



「こういうケースって、身近でもよくあるんだよな~。

ってかこれ詐欺の典型的な例じゃん。

惚れた弱みに付け込むなんて、マインドコントロールさせてるみたいでこりゃおかしいよ。

こんなのが許されるわけない。

だまされた恋人は契約を取り消せるよ。これは×だ。



なんて、購入者の恋人の弱者救済的観点から、「これは取り消せるよ」なんて思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこの肢が正解(○)になっています。

この問題は、「消費者契約法第4条1項~3項」が根拠となっています。

5が正解の理由は、「売り上げを上げるために、協力してほしい」という依頼は、違法な勧誘ではないので、取り消せないというものですが、このように、情に訴えかけてくるような問題は、要チェックです。

翌年の第24回の午後専門科目「更生保護制度」問150においても、類似選択肢が見られました。

保護観察処分にあった加害少年と、被害者(Nさん)に対する被害者担当官の最も適切な対応について問われました。


3の選択肢を見てください。


3.Nさんが加害者側から謝罪も被害弁償も受けていないことを知り、保護観察所にNさんを呼んで保護者と面接する機会を設けた。


やはり一見すると、情をくみ取った担当官の対応は、適切なように思えますが、正解は別の選択肢にある「心情等伝達制度を利用することを助言する」でした。

 

続いて二年前の第28回社会福祉士本試験問79「権利擁護と成年後見制度」科目からの出題です。

 

問題 79 父母の離婚に伴い生ずる子(15 歳)をめぐる監護や養育や親権の問題に関 する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

 

1 親権者にならなかった親には,子の養育費を負担する義務はない。

2 子との面会交流について父母の協議が成立しない場合は,家庭裁判所が定める。

3 親権者にならなかった親は,子を引き取り,監護養育することはできない。

4 家庭裁判所は,父母の申出によって,離婚後も共同して親権を行うことを定めることができる。

5 家庭裁判所が子の親権者を定めるとき,子の陳述を聴く必要はない。

 

 

 

 

正解は2です。

 

一見、4が正解のようにも思えますが、ひっかけです。

子どものためには、夫婦別れた後も共同で親権を有している方が利益が生まれるようになるかもと勘が働かれるかもしれませんが、不正解です。

 

婚姻中は共同親権ですが、離婚後はどちらか一方に定めなければなりません。

アメリカやヨーロッパの海外ドラマを見ていると、離婚後の夫婦が別々に生活をしていても、子どもへの共同親権を行使しているようなシーンが用意されていますが、日本の民法では認められていません。

 

 

2が正解の根拠は、民法766条2項に規定されています。

 

ちなみに、1〜5までの選択肢は、下記のように民法の条文と家事事件手続法に規定されてます。

 

子を養育(さらに教育)することを監護と言い、親権はその内容として子を監護する権利を有する。未成年子がいる場合、父母の婚姻中は父母が共同して親権を行使する(818条3項―共同親権)。したがって、子の監護(養育)も父母が共同して行う。しかし、父母が離婚するときには、父母のいずれか一方の単独親権となるから(819条)、離婚後の子の監護について取り決めておく必要が生じる場合がある。離婚後の子の監護に関して取り決めが必要となる事項として、子の監護者の決定や親子間の交流(面会交流)、監護に要する費用(養育費)の分担などがある(766条1項前段参照)。

父母は、離婚後の子の監護に関する事項を必要に応じて協議で定める(766条1項、771条)。父母の協議が調わないときや協議をすることができないときは、家庭裁判所が定める(766条2項)。この処分は審判によってなされるが、家庭裁判所は、当事者の陳述を聴くほか、子が15歳以上であるときにはその子の陳述を聴かなければならない(家事事件手続法152条2項)。

 

離婚と子の監護 - 民法まとめより

 

キーワードは「情ではなくて、制度や法令に則って取捨選択」です。

 

第23、24回試験の2回分は、分野名に「制度」と銘打たれていることがポイントになりますが、試験上では、あくまでも「制度や法令に則って」答えを導き出すことが求められています。


これは、試験だけの机上の空論ではなくて、現場の対応にしても共通しているとは思います。

第30回以降も、「情に訴えかけてくる」制度上の問題が出題されたら、惑わされないように、切り抜けてください。