「諦める力」と聞くと、受験生活には最も似つかわしくないと感じられれる方が多いのではないでしょうか。
このブログでも、諦めないことの大切さを幾度と無く唱えてきました。
ですが殊に受験生活に着目すると、「諦める力」と言うのも、「諦めない力」と同じくらい大切な姿勢です。
ん?
諦めない力が大切なのに、諦める力も大切ってモロに矛盾してるじゃんか!
こういうご指摘をされる方が至極当然だと思います。
ここで言う諦める力とは、為末氏の提唱するように「手段としての諦め」という考え方です。
手段としての諦めと聞くと、更に頭が混乱してしまったかもしれません。
どういうことかと言うと、合格という目的は諦めずに、合格するまでのプロセスを諦める力が必要になってくるということです。
未だ「???」の方のために、更に噛み砕いて説明していきます。
諦めることとは、合格することを諦めるという考えではありません。
あなたが合格するために不要な努力を取り除いで、合格に必要な努力に傾注して合理的に合格を成し遂げるという取り組み方です。
この「あなたが合格のために必要な努力」というのが重要なポイントになります。
18科目群という膨大な科目の中、誰だって苦手な教科、やる気そのものが削がれて、何度覚えても頭に入らない科目があるはずです。
全ての教科をまんべんなくマスターして合格を目指すという方法ほど、勉強が苦痛になる道はありません。
もちろん、120点位の余裕合格を目指す方にとってみれば、上記のような取り組みは必要不可欠になりますが、90点〜100点までの合格安全圏を狙う上では非効率な勉強方針になります。
全て完全に覚えようとするから勉強がはかどらなくなるのです。
苦手分野を諦める力、そういう割りきった考えも戦略的に合格を勝ち取る上で大切になってくるのです。
何が苦手かという分野については、勉強に励んでいる自分自身だからこそ気づける観点です。
諦めるというと努力を放棄すると思えて積極的に選べない方も多いですが、そもそもの語源は「見極める」という意味を持っています。
自分にとって苦手な分野と得意分野を見極めて、捨てるべき分野は捨てて、伸ばすべき分野は伸ばす、そういう視野の切り替えは受験勉強だけではなくて、本番でも応用できます。
捨てる問題と取れる問題を見極められないと、本番でどのような災難が想定出来るのでしょうか。
150問の中でどうしても分からない問題にこだわって残り時間がかなり削られてしまい、試験という特殊な場面でなければ解けるはずの残りの問題も、焦りから冷静さを失ってチャンスを落としてしまうという末路をたどるようになるのです。
苦手分野はパーフェクトに覚える必要はない。
むしろ完璧に覚えようとすることは無理に等しい。
仮に問題集全てを網羅して完全に覚えたとしても、本番では未知の出題や試験独特の雰囲気から心理的に動揺してしまって本領発揮できなくなってしまう可能性が高い。
各科目最低水準の1点を死守できれば、得意分野で挽回できる。
その上で、得意分野は本番でも、8割以上の力を発揮できるように、事前準備に余力を惜しまない取り組みをオススメします。
18科目群もあれば、必ず1科目くらいは全体の半分以上は何回か復習しただけで解けるようになる教科があるはずです。
得意科目ほど復習を忘れてしまいがちですが、何度繰り返しても新しい発見はあるものですから、本番直前までおさらいを忘れずに牙を研いでいただきたいものです。
得意科目を網羅して本番でも発揮出来れば、苦手科目が複数あっても挽回できます。
事実私も共通科目で壊滅的でしたが専門科目で起死回生出来たように、社会福祉士試験は難しい科目が登場しても、得点を取りやすい科目が用意されて挽回出来るように調整が図られています。
為末さんにとっての目的は勝利すること、そのための手段として100m走の選手としてを不合理と諦めて、400mハードルという得意分野で達成することが出来ました。
自分にとっての見極め、すなわち諦めることを選択できるようになるためには、まずは18科目群を一通り俯瞰してみて、向き不向きを体感してみる作業が欠かせません。
ファースインプレッションで「無理だ」と見極めてしまうのは尚早ですが、何回か取り組んでみても一向に頭に入らずに、時間だけが過ぎていって他分野に手をつけられなくなって立ち止まったら、「諦める力」を選択してみてくださいね。
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