これまで幾度となく説明してきましたが、問題集を解いていく上で基本となるのは、反復学習です。
私がこのブログ上で毎年唱えている3言葉のうち2つが「絶対合格」「過去問を制するものが試験を制する」ですが、もう一つのキーワードが
「反復学習を実践できた者が合格を手に入れる」
です。
何度も何度も同じ問題を繰り返して、インプットの積み重ねによって、本試験での1点につながるのです。広大なカリキュラムを満遍なく覚えようとすると、モチベーション的にも、効率的にも要領が悪いです。
学習を重ねて行く上で、危険なのは「わかったつもり」になることです。
今回は、誰もが陥りがちになる「わかったつもり」について解説していきます。
例えば、初めて勘で問題を解いてみたら、運よく正解していた場合を考えてみます。
しっかりと、「~という理由だから」と、根拠が分かっていれば問題ないのですが、消去法やなんとなくで解けていたとしたら、要注意です。
本試験で形式を変えて出題されたら、あいまいな知識のままでは、通用しない可能性が高くなるからです。
昨今の出題傾向を見ると、単に重要キーワードを暗記さえしていれば解ける問題だけではなく、記憶した知識を、現場を想定して当てはめられるかどうかを求めている形式が目立っているからです。
確実に基本の型をマスターすることが前提で、巧みな言い回しやひっかけ問題につまずかずに正解を導き出す作業の上で、わかったつもりの影響は大きいのです。
そもそも、問題集をこなしていて、一度正解した問題を、後日また解き直す作業は乗り気にならないものです。
ところが、今回正解できていたとしても、一週間後、一ヵ月後に再度解き直してみた時に、不正解になってしまう経験は、誰にでも往々にしてあるのです。
脳は基本的に忘れるように作られているからであって、一度や二度解いただけで完全にインプットできる方が、特質的なので、凹む必要はありません。
ここ「自分はもう覚えているから忘れているはずがない」という現実から目を背けて放ったらかしにしておくと、後でツケが回ってきます。
本試験前に気づけただけで、まだまだ改善の余地があるわけで、ラッキーなのです。
苦手分野を解いている時、もうこれ以上繰り返してやり直したくない拒否反応から、「わかったつもり」に脳を錯覚させて、二度とページを開きたくなくなる心境に陥るかもしれません。
実際に、理解しにくいような専門用語や人物名、年号問題などが多数聳え立っています。
私も、「現代社会と福祉」や「社会調査」分野は、抽象的キーワードを覚える作業が多いので、苦痛で苦痛でそのような逃げの姿勢に走ってしまった場面がありました。
しかし、そこで楽を選んでしまうと、本試験でゼロ点に陥って、全ての努力が水の泡になってしまう危険性が生じてしまうので、忍耐だと思って、最低必要源の反復学習は欠かせないです。
それに、自分だけがその科目を苦手だと思っているのではなく、大多数の受験生にとっても同じ心境であることが多いので、必要以上に落ち込まないでください。
『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)』
読解の構造を、認知心理学の観点から解き明かしています。
筆者は、現在、東北福祉大学社会福祉学科の教授として就任されています。「読解力がつかない本当の原因」を、著者のいう認知心理学を応用し、小学生の「国語」教科書から大学入試現代文問題まで素材にし、「わかったつもり」になって理解に至らない仕組みを解き明かしています。
この本は今から12年前に発売された作品で、『ドラゴン桜(13)』のセンター入試現代文読解面でも紹介されています。
読解について見つ直す機会になるため、長文事例等で読解力を求められている社会福祉士試験においても役に立つでしょう。目から鱗の発見になると思います。