社会福祉士を目指されている方で、宅建取得を視野に入れている方も意外に多かったので、2回にわたって、両資格の特徴や共通点、取得難易度比較などについて説明します。
まずは、宅建とはどんな試験か、取得後にどんなメリットがあるかについて、触れていきます。
◆宅建データ
受験者数:約18万
合格率:15~17%
合格点:7割程度(受験生の出来によって上下する)
形式:4肢択一マークシート
正式名称「宅地建物取引主任者」試験は、毎年約18万人が受験する介護福祉士並のマンモス受験者数が特徴です。
不動産のエキスパートの資格で、社会福祉士とは異なり、業務独占資格のため、業者は社員5人に1人が宅建主任者証を所持していないと、不動産の契約時に必要な“重要事項説明“を行えません。
事務所に宅建主任者証を取得している者がいなければ、業務自体ができないので、二つの意味で必須資格です。
不動産業界では宅建資格手当として毎月2~3万給料にプラスしているようです。
近年の動向を見ると、宅建も社会福祉士と同様に難化傾向が見られます。
如実に見られるのが、近年のボーダーラインの高さです。
平成22年23年度のボーダーは2年連続50点中の36点です。
つまり、7割以上取らないと合格できない試験になっています。
過去最高のボーダーが36点で、連続した年はありませんでした。
宅建も社会福祉士と同様に、一定の合格率に合わせて合格点を調整しています。
受験者の得点統計によって、難易度補正がされるのです。
宅建は社会福祉士のように、0点科目という足切りはありません。
全体で合格点を超えれば良いのです。
宅建が近年難化しているのは、受験者の質が高くなっている点と、試験科目の民法が単なる暗記力だけでは解けないレベルになっているからです。
社会福祉士と同様に、事例問題も出題されて、現場に求められる応用力を試験で試しているような印象を受けます。
社会福祉士と宅建は法律が絡んでいる点から、共通点も見られます。
クーリング・オフ、詐欺、相続、使用者責任、権利擁護と成年後見制度、統計問題等がそうです。
広範な範囲で、広く浅く出題されるという点と、生活上の常識問題も絡んでいるのも共通しています。
最近では女性の受験者が増加しており、主婦の方やOLが割合を占めているようです。
法律資格の登竜門として位置付けられているため、単に不動産業界を志望する人だけではなく、行政書士や社労士のステップアップとして受験される人も多いです。
また、不況や転職に強い資格として評価されていて、金融・保険業界においても宅建取得者を優遇する傾向が見られるようです。
次回は、社会福祉士と宅建の難易度の比較について説明します。