私の相談対応の実態について紹介していきたいと思います。
ここで言うのは社会福祉士としての現職ではなくて、ネット上で展開しているメールや相談室といった文字媒介の活動になります。
16年継続し、5500名を超える相談者様と向き合ってきました。
文字は対面や電話と異なり、顔出しなしでリアルタイムでのレスポンスを求められないことから、敷居が低く、本音を開示しやすいというメリットがあります。
他方、傾聴のような姿勢を続けることは不可能で、自分の意見や解釈を示さなければならない特徴もあるので、
「こうした方が良いという切り口ではなく、こういう考え方もありますよね。自分はどうしたいですか?」
と、相手の意思を尊重しながら、選択してもらえるように図っていきます。
ここで社会福祉士の重要キーワードにも登場する、バイスティックの七原則を意識している場面も多いです。
こういうスタンスを根気強く続けていると、そのうち相談者様から、
解決の糸口が見えました。
ありがとうございました。
というように、自分で新しい行動を起こして、次のステップに進まれる流れがありました。
その後の後日談を報告してくださる方もいらっしゃいます。
そういうありがたい近況報告を聴くと、
あの時の対応は間違いではなかったと振り返ることができるのですが、やはり人間相手ですから、こちらが計画している通りに進まないことが往往にして生じます。
私は、相手が私だけに依存しないように、一定の距離感を持って接していますが、
毎回毎回、
不安です。
どうすればいいですか?
私を見てください。
という目線を向けてくる方も稀にいらっしゃいます。
このような方の背景には、周りに理解者が少ない孤独感を抱えていて、将来に対しての強い不安から、視野が狭まっていることが話から浮かんできます。
自己らしさを取り戻して、意気揚々とした日々を取り戻すためには、距離感をつかみながら長丁場で接する必要性を感じています。
そして、支援する上で自分一人で抱えこまえずに、外部に目を向けられるよう必要な機関等を紹介して多角的にサポートするように努めています。
しかしながら、こちらの意図とは裏腹に、
なんで分かってくれないんですか!!
そんなふうな言葉を求めていないんですよ。
という聞き入れてもらえないような態度を取られることもありました。
ここで、冒頭に上げた自制心の大切さが浮かんできます。
ついつい自分も感情的になって、
「いやいや、私の言っていることはそうではなくて、こういう意図があるんですよ」
と、
反駁したくなる衝動に駆られますが、なんとかその気持ちをぐっと抑えて、弁明するか冷静に受け流せるように切り替えています。
私という存在は、道に迷った時に、気持ちの整理として使ってもらえればいい。
シンプルのようですが、それを実行するためには、忍耐と自分をコントロールできる自制心が常に求められてきます。
先回りしてああだこうだと自分の価値観からのアドバイスを伝えることは楽ですが、相手に気づきを促して、自分の力で解決に至れるようなサポートこそ、私の目的としているスタンスなのです。
この辺は、対人関係の職に就かれている方は、共感いただける部分もあるかもしれません。
色々と語ってきましたが、私も人間なので、自分をコントロールできずに感情をぶつけてしまい、後から反省する場面もありますし、先回って、こうしたほうがいいという主観を押し出してしまうこともあります。
最近では、家族のこと、将来のこと、仕事のこと、障害のこと、人間関係のこと等、複合的に不安を抱えている相談者様が増えています。
耳を傾けていると、同化しそうな錯覚に陥ったり、目を背けていた過去がフラッシュバックしたり、自分の弱い面が重なって自分を見失いそうになる時もあるのです。
対人援助では、自分自身に心の余裕がないと続けていけませんよね。
これらの経験は社会福祉士としての現職でも応用できている部分もありますが、ネット上での援助相談の難しさやリスクというものを年々肌で感じるようになってきています。
SNSを通じて相談者様の個人情報を開示することは倫理違反、守秘義務違反になります。
これだけSNSが主流になると、個人情報をネットに載せることに対してためらいなく行っている方や、自己PRのために実績を載せたい、そうなりたくなる衝動に駆られるお気持ちもわかりますが、それは自分優位で相談者様の立場を蔑ろにしているということなので、一線を引かなければならないと自戒しています。