試験は水物
試験には魔物が住む
受験の情報を集めていると、このような言葉を耳にします。
先人たちが残したこの言葉を、実際に、私自身も体験しました。
本番で19科目中、唯一1点科目があったのです。
それも、自分の仕事に直結していた専門科目の「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」からです。
当時の私は児童福祉事業に勤めていたため、積み重ねた仕事の経験や定期的な研修による勉強会から、この科目だけは自信がありました。
実際にテキストでの学習中も、この科目は正答率も高いですし、親近感が湧いて楽に学べました。
本番直前に、『福祉教科書 社会福祉士完全合格問題集』の巻末についていた第23回本試験専門科目「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」の1科目を模試代わりに解いてみたところ、満点正解でした。
その勢いで余裕を持って挑んだ第24回本試験では、まさかの自己採点ギリギリの1点です。
試験終了後の感触としては、半分くらい正解している自信があったのにです。
結果的に、この1問が間違っていたら、悪夢の0点科目によって、不合格になっていました。
「仕事で学んだことが全然役に立ててないんだわ」
同時受験した友人の声です。
彼は特養で5年間働いていました。
専門科目の「高齢者に対する支援と介護保険制度」には自信を持って臨んだようですが、自己採点の結果が思わしくなかったようで、凹んでいました。
実務で培う知識と、本試験で求められている知識は異なっている部分もあることを知りました。
現場では改めて試験に出題される項目を学ぶ機会は少ないものです。
たとえ試験前に高得点が取れていても、必ずしも本試験で同じような結果を出せるとは限りません。
会場独特の雰囲気、テキストには載っていない難問・奇問の出題、不安定なコンディションなどが一気に襲ってきて、「思うように解けなかった」と、嘆く受験生の声が、毎年インターネット上で聞かれます。
試験は水物、試験には魔物が住むという比喩は、誰にでもあてはまる可能性があるくらい身近な問題なのです。
自分に自信を持つことは、合格を勝ちとるために欠かせません。
ただし、それを裏付けるだけの学習過程と根拠が揃っていてこそです。
自分にとって都合よく物事を歪める傾向を心理学用語で「セルフ・サービング・バイアス」と言い、自分だけは特別と、甘い評価をくだしてしまう人間は多いようです。
自分の置かれている立場を客観視できるように努め、万全の準備を整えながら、実力を伸ばしていきましょうね。