公認心理師試験で登場する更生保護分野の中で、少年院の出題範囲について苦手意識を持つ方は多いのではないかと思います。
私の場合、第一種少年院から第三種少年院までの対象年齢を覚えるのに苦労した記憶があります。
少年院の実態について学ぶ機会が多くなかったので、イメージしにくかったという点が大きかったのですが、今回紹介するコミックは、まさに少年院の実態にスポットを当てて描かれています。
主人公は実在する児童精神科医で、性犯罪、放火、暴行事件等、実際に起きた事件をもとに、「なぜ加害者が起こしてしまったのか」「どう更生していくのか」について描かれています。
原作
非行少年の背景には、自閉症スペクトラム障害や軽度の知的障害を抱えながら生きづらさを抱えており、家庭内暴力やいじめの影響を受けて誰にも相談できずに孤立化している少年や、想像力が欠如しているため善悪の区別を持ちにくかった若者の特徴が浮かび上がってきます。
第一回追試問題にも登場した性犯罪処遇プログラムの実態についても描かれており、認知行動療法をもとにしたグループワークについても学べます。
少年院の実態だけではなくて、障害のハンディキャップを抱えている若者の生きづらさや向き合い方、支援の仕方についても考えさせられる作品です。