試験終了後になって、「もっとああしておけば」「ああできたはずだ」という内省が止まらなくなるのは、実力の全部を発揮しきれなかったような感覚に陥っていたり、冷静になって、気付いた発見が重なっているからでしょう。
特に、合格点が受験生全体の出来具合によって上下する相対評価の試験や、国家資格キャリアコンサルタント、2級キャリアコンサルティング技能士実技論述・面接試験のような正答が分からない出題形式の場合、「わからない」不安から想像が膨らんでしまうのは自然の流れです。
数日前から第29回国家資格キャリアコンサルタント実技面接試験の感想アンケートを行っていますが、9割の方が「手応えがない(自信がない)」と回答されています。
私自身も経験があるので想像できるところがありますが、15分間という非常に短い間で、相談者役の方が話したいことをたくさん話せたり、真の問題について口にしてくださるくらいラポールを構築することは至難の業です。
15分経った時点で否応なく終わらざるを得ない点からも、中途半端になって終わってしまったモヤモヤから自問自答が巡ってしまうサイクルになっているのだと思います。
実務の面談でも、インテークの後に理由も告げられずに姿を消されることもありましたが、このキャリコン試験の場合は、初回15分という短すぎる設定の間で問題把握に努めなければならないので、できることはどうしても限られてしまう仕組みだと思います。
「ツァイガルニク効果」という心理学用語があります。
完了した事柄よりも、未完了の事柄や中断した事柄の方が記憶に残りやすいという心理現象です。
まさにキャリコン実技面接試験終了後の心理にも当てはまるところがあると思います。
ですので、「もっとああしておけば」「ああできた」という反省が押し寄せてくるのは自然ですし、より向上心が高い表れでもあります。
試験は終わりましたが、学習そのものはそこで終わるのではなくて、今後実務や新しいキャリアを通して活かされていくものですよね。
今、ご自身に足りないものやできなかったことをただの後悔で留まらずに、ではどうしていきたいか、何ができたのかという視点から再学習することで、レベルアップが可能です。
そして、今はまだなかなかそう感じられないかもしれませんが、限られた条件下でも、「できたこと」が必ずあるはずです。
本試験では、6割合格基準というようにラインが設定されているように、4割できなかったことがあっても、6割できていれば合格可能です。
もしかしたら、できなかったと思っているものは全体を俯瞰してみると合格には支障がないレベルであるかもしれませんし、試験官から見たら、「できていた」と評価されている可能性があるかもしれません。
これは経験則による私の意見ですが、キャリコン試験の実技論述・面接試験の採点は、自己評価イコールにならない可能性の方が高いように感じています。
私の場合、実務経験と比較して面談の出来具合を評価していましたので、手応えに自信を持てませんでしたが、試験に求められる水準とは見識が異なっていたと振り返っています。
今はできなかった自分にショックを受けたり、自信喪失されている状態かもしれませんが、ベストを尽くされた方には、相応の結果が待っています。
長年培ってきたあなた様の良さを知っている人々がそばにいらっしゃいますよね。
自分の方向性を見失いそうになったら、時にはそういう身近な方から「あなた様」についての見方を教えてもらうことが、新しい発見があるかもしれません。