社会福祉士資格を取得した後に、「病院で働きたい(MSWになりたい)」という声を、毎年数多く耳にします。
最近では、MSWを主人公とした漫画が連載されるなど、大衆的な関心も非常に高まっていますね。
【参考書籍】
『ビターエンドロール』(佐倉旬/講談社)
『いとしのタンバリン』(くじらいいく子/小学館)
「MSWってよく聞くけれど、具体的にどんな毎日を送っているの?」 そんな疑問を持つ方のために、今回は、当ブログを通じて繋がることができた歴代合格者・A子さんの貴重な体験談をお届けします。
書籍やネットの綺麗な情報だけでは見えてこない、医療現場の「生」の実情。今後の進路を考える上での大きなヒントにしてください。
【実録】医療ソーシャルワーカーの現場
中部地方:A子さんの事例
1. 職場の環境
私が勤務しているのは、一般病棟、リハビリテーション病棟、療養病棟を有する個人病院の「医療連携相談室」です。
高齢の患者様が多く、主に大腿骨頸部骨折や脳血管疾患の術後リハビリを目的とした方が中心です。整形外科は女性、脳外科は男性の割合が高いのが特徴ですね。
2. 怒涛のモーニングルーティン
毎朝8時過ぎ、多職種が集まる「申し送り」から一日が始まります。 参加者は院長を筆頭に、看護師長、リハビリスタッフ、薬剤師、管理栄養士、そして私たち医療相談員。
ただの報告会ではなく、画像を見ながらの病状説明やリハビリ状況の共有など、実質的なカンファレンスです。相談員からは前日の入院状況や、現在進行中の相談案件の進捗を報告します。
その後、そのまま「院長回診」に同行。回診後には、院長から直接指示を頂きます。入退院の調整、診断書、病棟移動の指示など……。相談室に戻れるのは9時半を過ぎた頃です。
3. 「前方支援」と「後方支援」の狭間で
私の主な業務は、大きく分けて**「前方支援(入院相談)」と「後方支援(退院調整)」です。
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前方支援(入院まで) 紹介元病院からの情報を精査し、入院前面談を行います。「在宅復帰を希望されているか?」「家族の協力体制は?」といった人的環境まで深く確認します。
ここで大切なのは、信頼関係を築きつつも「入院可能な期間(限度日数)」を明確に伝えること。入院した直後に「退院後の話」をするのは心苦しいものですが、後々のトラブルを防ぎ、スムーズな支援を行うためには不可欠なステップです。 -
後方支援(退院に向けて) 入院当日は、医師のムンテラ(病状説明)に立ち会い、内容を記録します。その後、介護保険の申請手続きや身体障害者手帳の説明など、家族面談が続きます。
4. 専門職としての葛藤:DNRの確認
病状が重い場合、避けて通れないのが「DNR(急変時の延命希望の有無)」の確認です。 「万が一の時、どうされますか?」 この質問は、何度経験しても非常に辛く、こちらの心も締め付けられます。ご家族に「後日の返答で構いませんので、皆様でよくご相談ください」とお伝えし、その決断に寄り添います。
5. 経営的視点と「生活者」への配慮
退院調整においては、病院の「在宅復帰率」という経営的な加算要件も意識しなければなりません。転院先や施設が「在宅扱い」になるかどうかを計算しながら、支援を組み立てます。
さらに、最も神経を使うのが「経済的な側面」です。
年金額や家族からの援助の可否など、非常にデリケートな部分にまで踏み込んだ質問をしなければなりません。
これには、高いコミュニケーションスキルと細やかな配慮が求められます。
続く

