日本社会福祉教育学校連盟、日本社会福祉士養成校協会、日本精神保健福祉士養成校協会から委員を選出した委員会で、社会福祉士養成の在り方の見直すというテーマのもと、2015年12月から議論を重ねた結果の中間報告をまとめられたようです。
以下抜粋になります。
多職種連携の科目を設けるほか、介護の教育も位置付ける。現在180時間の実習は90時間程度増やすことを提案。それを実現できるよう、実習先の指定要件など現行の縛りを一定程度緩和することも必要だとした。
福祉新聞「講義減らし実習増へ 社会福祉士の養成で学校連盟などが中間報告」より
2015年9月に厚生労働省が「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」を発表したことを踏まえているようです。
この「福祉の提供ビジョン」のねらいをまとめると、介護や障害、子育て、生活困窮者といった分野の垣根を越えて、「全世代・全対象型地域包括支援体制」の構築を目指すと打ち出したことが最大のポイントです。
基本コンセプトは、「対象者を制度に当てはめるのではなく、本人のニーズを起点に支援を調整すること」です。
受け入れる人を限定しない相談の窓口やサービスの拠点をつくったり、より広く横断的な能力を持つ人材の育成を進めたりすることを盛り込んでいます。
具体策の一例が、ワンストップで相談できる仕組みの普及です。
ひとりで子どもを育てながら親の介護も担うなど、複数の困難を抱えている人から「包括的相談支援推進員(仮称)」が話しを聞き、地域のサービスのコーディネートにあたるようにするというものです。
ひとりで子どもを育てながら親の介護も担うなど、複数の困難を抱えている人から「包括的相談支援推進員(仮称)」が話しを聞き、地域のサービスのコーディネートにあたるようにするというものです。
新しい福祉サービスの提供体制として、担い手については以下のように明記されています。
① 地域の中で「狭間のニーズ」を掬い取り総合的な見立てとコーディネートを行うことができる人材
② 特定の分野に関する専門性のみならず福祉全般に一定の知見を有する人材
同ビジョンの中で社会福祉士について以下のように触れられています。
社会福祉士については、複合的な課題を抱える者の支援においてその知識・技能を発揮することが期待されることから、新しい地域包括支援体制におけるコーディネート人材としての活用を含め、そのあり方や機能を明確化する。
新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン より
新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン より
担い手として社会福祉士の在り方については検討事案となっており、今回の委員会発足にもつながっています。
他にも、幅広い知識やスキルを持つ人材の育成に向けては、資格を持っている専門職を対象に試験の科目を免除するなど、複数の資格を取りやすくする仕掛けを用意すると明記されています。
保育士試験等がその一例とも言えるかもしれません。
2009年度より新カリキュラム編成とともに、相談援助実習が180時間以上かつ23日間以上へと増えましたが、 今回の中間報告では、更に90時間程度加えて270時間程に増やすことが提案されました。
実習先の要件を緩和するとのことですが、改正後に履修する社会人学生にとっては益々ハードルが高くなりそうな予感がします(仕事との両立は、長期休みの関係もあり大変な方が大半なため)。
法制度等の科目分野を減らして、他職種連携科目や介護教育が新たに増えて、ソーシャルワーク実践に力を入れるということは、即戦力や応用力が求められているという表れでもありますね。
この動向についての最新記事については以下の通りになります。
10月7日付最新記事より一部引用
厚生労働省が12月から来年にかけて社会福祉士養成の見直しに乗り出すことを受け、福祉関係17団体が加盟するソーシャルケアサービス従事者研究協議会(白澤政和代表)は9月17日、都内で緊急討論集会を開いた。
二木立・日本福祉大学長は福祉の対象を拡大するとした厚労省の方針を説明し、「ソーシャルワークの職能団体や養成団体にとって絶好のチャンスと言えるが、他職種の参入によりソーシャルワーカーの就労の場が狭まる危険も併せ持っている」と問題提起した。
二木学長が注目したのは、7月に厚労省が立ち上げた「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」だ。その検討テーマとして医療・福祉の人材養成見直しが挙がっている。
具体的には、医療や福祉の資格に共通の基礎課程を設けたり(2021年度開始を目指す)、福祉系有資格者が保育士を取得しやすくなるよう試験科目を一部免除したりすることを検討する。社会福祉士、精神保健福祉士はその対象に入った。
引用元↓
ソーシャルワーカーの共通資格制度の創設という今後の展望についても注目して行きます。