管理人が受験した第22回国家資格キャリアコンサルタント(以下キャリコン)試験の学科記録をまとめました。
全部で6800文字程の長文になるため、必要な部分のみ目次からご覧いただければ嬉しいです。
基本的に、学科も実技も独学で、対策講座・養成講習は受講しておりません。
ここで記載している学習方法は、独学勉強法となり、他受験生の勉強スタイル等は一切リサーチしていませんでした。
これまで私が受験してきた20以上の資格試験から、自分なりにアレンジしたやり方を実践しました。
第23回試験以降受験を検討されている方や、どんな学習過程だったのか興味がある方の参考になれば嬉しいです。
【実技試験独学受験体験談はこちら】
- 学科使用問題集(この一冊だけ)
- 学科対策使用アプリ
- 学科試験勉強情報まとめ
- 本番までメンタル面のコントロールがとても難しかったです
- 疲れが溜まっていて、勉強への意欲が削がれてしまうラストスパートの2週間でした
- 苦戦した「理論と人物」対策
- 学科試験当日の実況
- 学科試験を終えて、なぜ短期間で合格できたのかと今後の試験について
- 合格通知が届き、正式な点数の真相が判明しました
事前に読んだキャリコン本
いきなり受験勉強に入る前に、キャリアコンサルタント資格の全体像をつかむための情報収集を行いました。
特徴や可能性を把握した上で、受験勉強と取得後のモチベーションに転換させるねらいがありました。
下記の3冊は「食えない資格代表」と揶揄されることもあるキャリコンをどう活かすか、活かせるか考えるためのヒントにもなり、私はこれらの著書を読んだ上で、約4万円の費用を払っても受験する意義があると判断しました。
学科使用問題集(この一冊だけ)
問題集は、後にも先にもこの一冊しか使用していません。
私がかつて受験した公認心理師試験、社会福祉士試験の学習でお世話になった翔泳社の問題集で、左に問題・右に1問ずつの解説という見開き式で慣れていてたため、即決しました。
分野別に並べられていたため、自分で解く科目を選べるというレイアウトも大きかったです。
『心理教科書 公認心理師 完全合格問題集 第1回~第5回試験解説版』
もう一つの決め手は、掲載されている問題量で、全200問だったことです。
付属の模擬試験は一切手をつけていません。
私はこれまでの各資格試験の受験体験から、過去問オンリー勉強法で挑むと決めていました。
本書の中で、
過去問1回から18回まですべてやった合格率94%
10回から~17回で90%
4回から9回は79%
と紹介されています。
私が本格的に勉強を始めたのが2月に入ってからだったのと、自身のモチベーションからして、過去問すべてやれるだけの気力はなかったため、本書の200問に加えて、直近3年分(6回分300問)の合計500問をこなすことに決めました。
後述しますが、受験結果を見ても、戦略としては間違いではありませんでした。
学科対策使用アプリ
今回、資格試験勉強法で初の取り組みとして、スマホアプリの学習ツールを導入しました。
決め手は、第1回目から20回までの実際の過去問が全て搭載されており、無料であることでした。
購入した『キャリア教科書 国家資格キャリアコンサルタント学科試験 総仕上げ問題集』の特典でWEB一問一答アプリもあって使ってみましたが、ネット環境がなくても単体で使用でき、問題量が充実している本アプリ一本に絞りました。
アプリのメリットとして、解いたらすぐに解説が表示されることと、法令等が過去問解説にも反映されているので、一本集中で取り組めることです。
私は第20回から16回までの250問を反復学習しました。
約一か月未満の学習期間でしたが、予備のシムフリースマホに導入して、入浴時や移動中などのスキマ時間でゲーム感覚で何度も解きました。
アプリだと荷物にならず、ネット回線不要でサクッと起動して解けるのでお勧めです。
最新の第21回試験問題は搭載されていなかったため、受験を申し込んだCC協議会の公式サイトでDLして本番1週間前に解きました。
全300問解いたことになります。
学科試験勉強情報まとめ
勉強期間
2月〜3月5日試験日当日まで
※本格的に勉強をスタートしたのは2月20日から
総仕上げ問題集を執筆された原田氏が運営する「みん合」アンケートで、学科期間に費やした学習時間を見ると、
3か月以上6か月未満33%超で1位、1か月未満12.6%
みんなで合格 第22回より
とあり、一か月の間の短期集中勉強で挑む方は少ないことがうかがえました。
残された時間はわずかでしたので、怯むわけには行かず、30日間に全てを傾注しました。
1日の勉強時間:平日30分〜1時間 休日2時間
勉強量:総仕上げ問題集+過去問6年分(第21回〜16回)
勉強法:移動時間(通勤)、入浴、昼休憩等のスキマ時間はスマホアプリで過去問をひたすら解いていました。
総問題集は基本的には自宅メインで、休日のまとまった時間や寝る前に解いていました。
アプリでは過去問の総合力を、問題集では分野別に勉強を併行していたのは、同年度に受験した公認心理師国家試験の併用勉強法を応用したためです。
ただ問題と答えを暗記するのではなくて、できるだけ広い視野を持って総合的に知識を吸収できるように努めていました。
では、なぜ本格的に勉強を開始したのが受験日の2週間前だったかと言うと、実務経験ルートで受験申請をしたのが前年の12月15日で、受験票の到着を持って申請が通ったことを知ったのが2月20日でした。
「2月16日夕方付けで発送した」とHPにありましたが、公認心理師試験などと異なり、簡易書留ではない普通郵便だったため、到着が翌週の20日月曜日となったのです。
加えて試験直前の2月26日に、はじめて直近の第21回試験を通しで解いてみましたが、初っ端の統計問題から苦戦してしまい、手応えが少ない有様でした。
後半25問目以降は比較的過去問と傾向が類似していて解きやすかった印象で、いざ採点をしてみると、案の定25問目まではボロボロで、後半で巻き返せて計68点でした。
試験直前で合格点の7割行かない実力であったのはショックでしたが、現状の力不足を再認識し、これがショック療法となり、最後まで追い込みができました。
実は社会福祉士試験の時も同様の経験をしておりまして、本番1週間前に腕試しで解いた直近の過去問の出来があまりのひどく、そこから起死回生で巻き返せた過去がありました。
私の場合、危機感や焦燥感が起爆剤になったのです。
本番までメンタル面のコントロールがとても難しかったです
試験日は3月5日。
年度末の繁忙期で、試験直前までは余裕を持てない要素が重なったからです。
残業もほぼ毎日重なり、ちょうど絶対合格ブログの合格発表日が試験の2日後だったので、記事執筆の追い込みと仕事の両立で、一年で最も脳をフル回転させた時期でした。
更に個人的に大きかった出来事として、趣味で毎月参加している某ゲームで開催されるフォトコンテストに落選したことです。
発表が試験一週間前のタイミングでしたので、勉強へのモチベーションにも影響がありました。
趣味とは言え、毎月本気で参加していますので、反動も大きいのです。
当時通常回は5連続で落選していましたので、自分が取り組んでいる試験に自信を持てなくなってしまう要因にもつながっていました。
幸いにも、落ち込んでいる余裕がないくらい試験が差し迫っていて、勉強量も不足していましたので、なんとか意識を逸らすように図ることができました。
絶対合格ブログの更新、仕事の多忙さが加わって、このままで受からないというプレッシャーの重圧を感じていました。
結果的にはこの状況を違う角度から見ると、多忙で余裕がない時こそ、過去問学習に太鼓判を押せるとも言い換えられます。
疲れが溜まっていて、勉強への意欲が削がれてしまうラストスパートの2週間でした
前述しましたが、2月中旬から仕事面がにわかに多忙になり(重い案件が続き、残業の日々)、まさに心なくす状況でした。
自宅に帰ると、緊張の糸が解けてしまったかのように崩れ落ちてしまい、そこから勉強に向かう気力を持てなかったため、スマホアプリでゲーム感覚で取り組みました。
1日5分でも良いので、残された時間がわずかだけだったので取り組むことを目標に本番を迎えました。
本試験3日前になって、ようやく過去5年分(250問)は3順くらい回せるレベルになりました。
こうなってくると、ちゃんと覚えないと(全問しないと)気持ち悪い感覚に陥るようになり、間違った問題はもちろん、正解した問題も何度も繰り返しては、1肢1肢を繰り返しました。
本番前日に直近の過去問(第21回)を1問目から解説つきで1肢1肢確認して、みん合サイトをチェックして最新(令和4年)の統計ポイントに目を通して、一夜漬けに近いレベルで頭に詰め込みました。
試験日まで時間が残されてはいなかったため、モチベーションを維持することも大きな要素でしたが、キャリコン学科試験は実生活や実務と密に関連しているため、勉強していて面白い、ためになると感じられるような内容が多々あります。
「キャリア」がテーマなので、机上の空論ではなくて、自分のこととして、家族や同僚との会話にも使えるので、試験問題としてではなくて生きる学習として取り組めることが長期的なモチベーションとなりました。
苦戦した「理論と人物」対策
人物と理論をセットで覚えることは苦戦しました。
総仕上げ問題集の中で、50問中13~15問は出題されるとあったため、捨て問にはできないというプレッシャーが常にありました。
この過程は公認心理師、精神保健福祉士、社会福祉士試験でも共通していましたが、例えば、「ジェラット」と「連続的意思決定プロセス」をセットで覚えることに苦戦し、次に連続的意思決定プロセスの意味を覚える二段階に苦労しました。
総仕上げ問題集では、人物ごとに「スーパー」「ホール」出題が分かれているので、下地を作るのにもってこいでしたが(上記アプリでも人物ごとに覚えられるカテゴリーが用意されています)、本試験では、複数の人物名とその理論がごっちゃまぜになって出題されため、個々の人物と理論をインプットする「木を見て森を見ず学習」ではなくて、全体の出題の中から、輪郭をつかむようにしていました。
例:キャリアアダプタリティ⇒スーパーが提案し、サビカスが確立させた
ネットの画像検索等で視覚的に人物や理論を表などでも覚えるように努めました。
学科試験当日の実況
会場は東京都の某有名大学でした。
私が受験した会場は100人規模で、試験開始前に早く到着したので、全ての教室をざっと見にいったところ、全1000人くらいはいたのではないかという印象でした。
私が受けた教室では数名しか欠席者が見当たりませんでした。
肝心の試験問題の出来は、懸念していた最新(令和4年)の統計問題も出ずに、手応え的には7割くらいでした(3月試験は最新のものが出題される可能性があります)。
少なくとも前年7月に受けた史上最難関回だった公認心理師試験直後よりはできた感が残りました。
ただ、2つまで絞れたけれども判断に迷った問題が3問あり、悩みに悩んだ末に解答を3問とも書き換えました。
公認心理師試験1年目は答えを変えたことで、全問不正解となり、直感を信じていれば受かっていた苦い経験がありましたが、今回はそれでも変えた方が正解になるのではないかと、最終判断を下しての変更です。
全部解き終えて時計も見ましたが、1時間も経っていませんでした。
マークミスを二度チェックして、1時間経った段階で途中退出が可能となるため、挙手して退出しました。
同時点で抜けた受験生は全体の1~2割くらいだったような記憶があります。
なぜ途中退出したのかと言うと、もちろん全問解き終えて、もう悔いはないという覚悟もありましたが、午後に実技論述試験を控えていたため、昼食をする場所を早めに確保したいという理由もありました(ルールで試験会場には残れません)。
※キャンパス周りでは休憩できそうな場所が敷地内くらいしかなく、花粉症持ちだったのもあって、試験前に構内で昼食が取れそうな場所を見つけていたのです。
案の定到着すると席に空がありましたが、周囲の席は既に何名かの学生で埋まっていたので、早めに出てきて正解でした。
実技試験までの約2時間余りをそこで過ごしましたが、その時間、私は論述対策はせずに、学科試験の自己採点をしながら休憩していました。
(実技試験については別記事でまとめます)
当日18時にみん合こと、みんなで合格キャリアコンサルタント試験サイトで解答速報が出されました。
最速の情報で、他に出しているところはありませんでした。
電車内でしたが、いざ慎重に自己採点すると、まさかの正解の連続で、合計が90点に!
そんな馬鹿なと、もう一度見直したら一点増えて、92点になりました。
翌朝10時にCC協議会から正式解答が発表されて(私がかつて受けた試験は総じて合格発表時に正答が公開されるため、とてもありがたかったです)、解答速報と2問異なっていましたが、結果は同じく50問中46問で92点でした。
1週間前に第21回試験を問いてみて68点だったので、まさかの結末に自分でもにわかには実感できませんでした。
冷静に分析してみると、9割超えられた要因は、以下の点にまとめられました。
・直前に受けていた公認心理師試験での学習の型が残っており、応用できたから
⇒勉強スタイルを応用したことと、カリキュラムが被っているところがかなりありました。
キャリコン試験の方が素直で基礎的な問題が多い印象です。
・試験構成が落とす問題メインではなくて、過去問の焼き回しが何問もあったから
⇒何度も過去問を解いていると見えてきますが、キャリコン学科試験は落とすための試験としては作られていないということです。
合格率が毎回50%を上回っていることからも、物語っています。
本番は過去問で見たことがあるものとうりふたつの出題が複数あった気がしましたが、みん合原田氏の分析によると、8問もあったようです。
第22回キャリアコンサルタント試験過去問解説を制作中にて、4月上旬~中旬にかけて公開開始の予定ですが、毎回恒例の復活問題チェックでは、今のところ、過去問と「全く同じ問題が8問」、選択肢が一つだけ違うなどの「類似問題が4問」判明しています。
— 原田政樹@みんなで合格キャリアコンサルタント試験 (@masakyharada) March 25, 2023
最近の試験では毎回このような傾向があります。
他にも出題文を理解していなくとも、選択肢に書かれている「のみ」のような限定・断定的な文言が結構あるので、消去法で解けるような出題も多いです。
・苦手な人物問題が少なかったため
⇒人物名と理論の入れ違い問題のような出題で、細かい問題が少なめだったのが高得点につながりました(実際に人物・理論問題の不正解は一問だけ)
学科試験を終えて、なぜ短期間で合格できたのかと今後の試験について
事前学習は一か月以内で総勉強時間は恐らく30時間もありませんでしたが、過去問一本(16回試験~21回まで)に絞ったことと、公認心理師試験やメンタルヘルス・マネジメント検定II種等のカリキュラムが被る関連資格を取得していたことで、アドバンテージがあったと振り返っています。
以上、私自身の経験から、キャリコン試験では過去問中心学習法を推奨しますが、下記動画作者講師の見立てによると、今回の結果を受けてキャリコン10万人計画の累計数が達成することが推測されるため、今後(第23回以降)は無理に合格者数を輩出せずに、難化させるような傾向になるかもしれないと予想されています。
仮に難化させるような方向性に進んだとしても、過去問学習の重要性は変わりませんので、いわゆる丸暗記ではない過去問学習に取り組まれることをおススメします。
合格通知が届き、正式な点数の真相が判明しました
合格発表の2日後の4月19日正午、待ちに待った通知が届きました。
学科は自己採点通りの92点でした。
実技独学体験記に続く
お世話になったサイト