下流老人という四字熟語から連想するのは
下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)
年末恒例の「2015ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)の
ノミネート50語にも選ばれた「下流老人」というキーワード。
「NEET」や「SNEP」という新語のように、 新しい四字熟語の登場にはインパクトを受けました。
本書の中では、「このままだと高齢者の9割が貧困化し、貧困に苦しむ若者も増える」と警鐘を鳴らされていますが、著者であるのは生活困窮者支援のNPO法人「ほっとプラス」の代表理事の藤田孝典さんです。
YAHOOニュースのコメント欄でも藤田さんのご意見を目にする機会が増えていますが、反貧困ネットワーク埼玉代表、ブラック企業対策プロジェクト共同代表、生活保護問題対策全国会議幹事、厚生労働省社会保障審議会特別部会委員(2013年度)、聖学院大学客員准教授と、幅広い活動を行っていらっしゃいます。
NPO法人「ほっとプラス」の活動内容としては、主に生活困窮者の支援です。
埼玉県で、年間300名の生活困窮者の相談を受け付けており、ホームレスの人をはじめ、自殺をしようとしている人、虐待を受けている人、刑務所を出所したばかりの人、売春を強いられている人など、様々な境遇の人を相手に活動されているようです。
活動内容としては、生活保護受給の申請支援やその他の届け出の支援、さらに就労支援・自立支援、そして家を失ったり、失う恐れのある方を対象に、アパート探し、シェルター経営によって一時的な住居提供など、多岐に渡るようです。
ここまで聴いてピンときた方もいらっしゃると思いますが、藤田さんは他でもない社会福祉士登録者としても有名です。
社会福祉士という仕事は一般人にとってはまだまだなじみがなかったり、具体的なイメージがつかみにくい実情がありますが、藤田さんのようにアウトリーチやソーシャルアクションを幅広く行っている方の影響で、その役割や必要性が浸透しています。
知りたい! ソーシャルワーカーの仕事 (岩波ブックレット)
共作になりますが、ソーシャルワーカーの役割とイメージを膨らませる入門書として藤田さんはこのような著書も手がけており、ソーシャルワーカーの存在をあまねく発信しています。
社会福祉士の先輩として、その背中から学ばせていただくことが大いにありました。